研究課題/領域番号 |
18K09848
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
石川 美佐緒 鶴見大学, 歯学部, 助教 (90582445)
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研究分担者 |
下田 信治 鶴見大学, 歯学部, 教授 (30139620)
菅崎 弘幸 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (30333826)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歯根膜線維芽細胞 / アルカリフォスファターゼ / ナトリウム依存性リン酸トランスポーター / フォスフォノギ酸 / リン酸 |
研究実績の概要 |
本年度は、アルカリフォスファターゼ活性によりできたリン酸のナトリウム依存性リン酸トランスポーターを介した歯根膜線維芽細胞内流入について解析することを目標として実験をおこなってきた。初めに、本研究(in vitro研究)で使用する予定の歯根膜線維芽細胞の形質発現をRT-PCRより確認をおこなった。その結果、既存の3種類の歯根膜線維芽細胞はアルカリフォスファターゼの遺伝子(ALPL)を始めとして、歯根膜線維芽細胞に発現していると言われている遺伝子(COL1A1, FMOD, PLAP-1, Periostin, etc.)の発現を認めたため本研究で使用することとした。また、それら遺伝子の発現が安定している5~7継代目を使用して実験をおこなった。 次に、歯根膜線維芽細胞の通常培養や石灰化誘導培養をおこなった際、ナトリウム依存性リン酸トランスポーターの競合的拮抗薬であるフォスフォノギ酸を添加し培養をおこなった際のリン酸濃度の変動を経時的に測定した。初めに、歯根膜線維芽細胞の培養において添加するフォスフォノギ酸の濃度を1.0mMに決定するための予備実験をおこなった。その後、通常培養や石灰化誘導培養、石灰化誘導培養にフォスフォノギ酸を添加した3種類の培地で歯根膜線維芽細胞を培養し、その細胞内のリン酸濃度を測定した。その結果は、通常培養ではリン酸濃度の大きな変化は認めなかったが、培養開始後1日目に石灰化誘導培養をおこなった細胞ではリン酸濃度が高い値を示し、石灰化誘導培養にフォスフォノギ酸を添加し培養をおこなった細胞ではリン酸濃度が低い値を示した。これらの結果から、ナトリウム依存性リン酸トランスポーターを介して歯根膜線維芽細胞内にリン酸の流入が生じていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標の1つであったアルカリフォスファターゼの強発現を示す歯根膜線維芽細胞の作製について苦戦を強いられているが、それ以外の目標は達成しているため。
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今後の研究の推進方策 |
歯根膜線維芽細胞の種類や継代数、ALPL導入方法について検討をおこない、平成30年度で達成できていないALPL強発現を示す歯根膜線維芽細胞の作製に引き続き取り組んでいきたい。また、次年度は当初の予定通り、これまでの3種類の培地を用いた培養における歯根膜線維芽細胞の骨芽細胞マーカー遺伝子の発現について着目し、その経時的変化を明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度で達成できなかったALPL強発現を示す歯根膜線維芽細胞の作製に使用した細胞は、既存の細胞を使用したため、新たな細胞の購入をおこなわなかった。また、その後に予定していたタンパク分析に使用するためのwestern blot機器を購入していないため使用額に差額が生じた。 次年度は、そのような細胞の作製とタンパク分析を引き続きおこなっていくため、新たな細胞の購入、タンパク分析の機器・試薬の購入に使用する予定である。
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