研究課題
矯正歯科治療において用いられる適切な矯正力ならびに治療メカニクスは重要であるが、これまでは実測が困難であった。本研究では、微小6軸センサーを複数用いることで、実寸大の模擬歯列を用いた臨床型矯正力計測システムを開発し、古典的力系の検証および新たに考案した力系の裏づけを行うことを目的とした。1. 改良型計測システムの開発申請者らが考案した2歯モデルを拡張し、矯正歯科臨床を想定した片顎の14歯モデルの開発を行う。東京理科大学理工学部機械工学科支援の下、Action stickを介することでセンサーを模擬歯列内面に配置し、模擬歯とセンサー部に生じる測定値の誤差の補正を行うことで正確な力・モーメント値の変換式を導き出すとともに、リアルタイムに観察可能なビジュアルインターフェイスでの出力を目指す。2. 模擬歯列が最外周に位置する本装置の利点を活かし、これまでの装置では測定が困難であったループを組み込んだワイヤーや、複数のワイヤーを同時に用いる力系、超弾性と形状記憶の得性を有するNiTiワイヤーを用いた力系の評価を行う。特にNiTiワイヤーは、屈曲時の熱処理によって超弾性特性が変化するため、活性化量と実際に発揮される矯正力の関係が明確でなく、これまでほとんど検討がなされてこなかった。申請者らの臨床においては、レベリングのみならず、犬歯の遠心移動時など幅広い治療ステージで使用しており、様々な治療メカニクスを用いている。活性化量と力・モーメントの関係が定量的に明らかになれば、矯正治療の質向上に大きく寄与するものと期待される。当該年度においては14歯モデルのプロトタイプが完成し、キャリブレーションを行っている。また、より精度の高い新たなセンサーを用いて、少数歯モデルによる限局的なメカニクスの解析を行っている。
2: おおむね順調に進展している
本年度は14歯モデルのプロトタイプが完成した。キャリブレーションにおいてセンサーの不具合が判明したため、メーカーに依頼し、オーバーホールを行った。また、より精度が高い少数歯モデル構築のため、新たにセンサーを購入し、予備的な実験を行っている。
14歯モデルにおいては、プロトタイプを用いて予備的な実験を行いつつ、改良を重ねていく。また、少数歯モデルにおいては、限局的な歯の移動モデルに即した実験を行う。
消耗品の購入が予定より遅れているため。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Conf Proc IEEE Eng Med Biol Soc.
巻: 2018 Jul ページ: 1797-1800
10.1109/EMBC.2018.8512648.