研究課題/領域番号 |
18K09853
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
簡野 瑞誠 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (40345301)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 矯正力計測システム / 高精度6軸センサー / 矯正力 / モーメント |
研究実績の概要 |
矯正歯科治療において生理的範囲内で歯を移動するためには、適切な矯正力を用いることが重要である。今日まで、治療メカニクスが歯に与える力やモーメントを計算する様々な試みが行われてきたが、歯が実際に受ける矯正力を計測することは技術的に極めて困難であった。そのため臨床的には、矯正歯科医が感覚と経験を頼りにワイヤーなどの装置の調整を行っているのが現状であり、客観性・定量性・再現性にきわめて乏しいと言わざるを得ない。その状況を打開すべく、我々が近年開発した微小6軸センサーを複数用いることで、実寸大の模擬歯列を用いた画期的な臨床型矯正力計測システム開発を行ってきた。 模擬歯2歯に0.018×0.025-inch slot セルフライゲーションブラケットを同じ高さに接着し、高精度Orthodontic simulatorを用いて実験を行った。ブラケット間距離は10mmとし、設置するワイヤーのVベンド角は10、20、30および40度とし、頂点位置はブラケット間中央とした。0.016×0.022-inch Improved super-elastic Ti-Ni alloy wireに加え、ステンレススチールワイヤーおよびチタンモリブデン合金ワイヤーの計測も行い、力とモーメントを比較した。37°Cの恒温器内にて、各ワイヤー5本ずつ計測を行った。 また今回新たに、抜歯空隙閉鎖時に用いるエラストメトリックチェーンを模擬歯に装着し、計測することによって、抜歯空隙に2歯が倒れ込んでこないためのVベンドの大きさ、ワイヤーの種類、エラストメトリックチェーンによる牽引力の大きさの適切な関係を明らかにした。これまで、センサーの測定精度が低いため、低剛性ゆえにブラケットに生じる力とモーメントが小さくデータのばらつきが大きかった改良型超弾性Ti-Ni合金 ワイヤーにおいて定量的なデータを計測する事も可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目標は2歯モデルを14歯まで拡張する事であったが、Covid-19感染拡大の影響により、共同研究を行なっている東京理科大学理工学部との協力が滞っていた。よって現在は7歯まで拡張を行い、新たな力系を検証する計画を立案中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、口腔内を想定した14歯モデルを作成し、新たなメカニクスの検証を行なっていくことを目標とする。このシステム開発は、臨床における治療法の評価のみでなく、新しい治療法の提案も期待できる。 東京理科大学理工学部と連携し、3次元画像データとの統合的評価により、治療の定量的評価など、臨床に役立てることを想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
模擬歯数を増やすために、今後新しくセンサーを購入する予定である。 また、ワイヤー、ブラケット、エラストメトリックチェーン等の消耗品も随時追加購入予定である。
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