研究課題/領域番号 |
18K09856
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
古賀 義之 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (50175329)
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研究分担者 |
吉田 教明 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (40230750)
濱中 僚 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (70805986)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ディープラーニング / 人工知能 / 畳み込みニューラルネット / Spatial transformer / 生成モデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は近年急速に発達している人工知能技術の一つであるディープラーニング(多層畳み込みニューラルネットを用いた機械学習)を用いる事で、従来の方法より高い精度で顎顔面の成長量と成長方向を予測する事である。従来の方法ではX線画像上にランドマークとなる点を人力でプロットしてから解析を行っていたのに対して、画像を直接学習データとして使用することで、今まで切り捨てられていたX線画像の微妙な濃淡などの細かな情報を全て利用することが可能となり、予測精度の向上が期待できる。 これまでの成果として、人工的に成長前の画像を参考に成長後のX線画像が生成できることを確認済みである。学習後のネットワークにテストとして成長期の患者のX線画像を入力すると、下顔面が前下方に成長したX線画像が出力された。一方で成人の患者のX線画像を入力すると、入力画像から殆ど変化が無い画像が成長後の画像として出力された。このことから学習済みの人工知能がX線画像から自動的に顎顔面の成長に関わる情報を抽出し、将来の成長量や方向を予測することが可能であることが示唆された。 昨年度まで、予測画像上で矯正がトレースを行うために十分な先鋭度を得る事を目標として研究を行った。しかし、Generative adversarial network等を用いることで多少の先鋭度の上昇は合ったものの一貫性のある結果を得るに至らなかった。 そこで、当該年度はトレースを用いない定量化の方法について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
画像の先鋭度の面で予測画像上で術者がX線写真のトレーシングを行い一貫性のある定量化を行うのは依然として難しい状態である。予測前の画像と予測後の画像の相互情報量等を比較することで定量化を試みているが、イヤーロッドの変化等の成長と無関係なノイズも変化量として評価されてしまうため更なる検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
現状では人工知能により生成される画像はやや不鮮明で、そのままでは画像のトレースやランドマークのプロットなどの定量化が難しい状態である。相互情報量などの全体の変化を評価する方法ではノイズの影響を受けやすいため、従来からコンピュータビジョンの分野で用いられているオプティカルフローの解析を行い、視覚的な変化と一致しているかの検討を行う。また、ニューラルネットのSpacial transformerの層の出力を用いて変化量を評価する方法についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回の研究計画では,国内外の学会への参加や研究打ち合わせ等に多くの旅費を計上していたが,コロナ感染症の影響で移動が困難となった.また,物品の購入過程等で,安価に取得できたものがあり次年度使用額が生じた.今回繰り越す額は,次年度に成果発表や消耗品の経費として使用予定である.
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