研究課題/領域番号 |
18K09857
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
森田 幸子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (00631574)
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研究分担者 |
吉松 昌子 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (20420630)
佛坂 斉祉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (90199513)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 最適矯正力 / 分子イメージング / SPECT |
研究実績の概要 |
最適矯正力とは、歯根や歯周組織への悪影響なく効率的に歯を移動させる矯正力を指すが、臨床的に明確な数値的指標はなく、また生物学的エビデンスも未だ乏しいのが現状である。これを解決するための重大な課題の一つとして、生体で骨代謝を計測する方法がこれまで容易でなかったことが挙げられる。本研究ではその生体内での骨代謝動態を詳細に評価できるSPECTを使用する分子イメージング法を用いる。SPECTを利用することにより、矯正力の違いによる周囲歯槽骨代謝回転を定量し、それと同時に歯の移動量とその副作用である歯根吸収量を測定することで、効率的に歯が移動する最適矯正力の実験医学的なエビデンスを得ることを目的とする。 これまで矯正力を付与したラット歯の移動時の骨代謝を経時的に検証した。ウィスター系雌のラットの上顎左側第一臼歯へニッケルチタン製のクローズドコイルスプリング(10 g)を装着し2週間近心移動させ、経時的にラット頭頚部のマイクロCT撮影およびSPECT撮影を行った。SPECTのトレーサーとして99mTc-MDP150MBqを尾静脈投与し、3時間後にラット頭頚部のCT/SPECTの撮像を行い、CTでは歯の移動の変化を、SPECTでは骨代謝の亢進および抑制を評価した。装置装着後2日目より牽引歯の歯根周囲で99mTc-MDP集積の増強を認め、13日目においてもその集積の高さは維持されており、矯正力負荷後、早期から歯根周囲の骨代謝が更新し継続することが示唆された。その後、矯正力の荷重条件(10g, 25g, 50g, 100g)を変え、荷重条件による歯の移動量と歯根吸収量の関係を検証した。10g荷重群はその他の荷重群と比較して歯の移動については有意差を認めず、歯根吸収は有意に抑制され、本実験で10g荷重は効率的に歯が移動する最適矯正力として有力であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
最適矯正力と考えられる荷重について歯周組織周辺の破骨細胞および骨芽細胞変化を観察し分子生物学的裏付けを行う予定としていたが、新型コロナ感染症拡大による様々な行動制限や感染症対策にかかる業務の拡大による負担増のため当初の予定よりも研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
最適矯正力の分子生物学的裏付けを行う。歯の移動後、上顎第一臼歯とその周囲組織を採取し、脱灰後パラフィン包埋、臼歯部の横断切片、縦断切片標本を作製し経時的に観察する。ALP染色およびTRAP染色により、それぞれ骨芽細胞、破骨細胞を染色し、上顎第一臼歯の周囲組織における経時的な細胞変化を観察する。また骨芽細胞の分化マーカーであるALP、Osteocalcin、破骨細胞の分化マーカーであるTRAP、Calcitonin receptor、Cathepsin Kについて、上顎第一臼歯部における遺伝子発現量をreal-timePCR法にて解析する。また、上顎第一臼歯部における上記マーカーのタンパク質合成量を免疫組織化学法にて定量的に解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は新型コロナの影響により今年度の研究が遅れたことに伴い物品費や旅費、論文校正や論文掲載費の執行がなくなったため発生した。次年度、動物飼育費・共同実験施設使用費・旅費・論文校正掲載費として使用する。
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