研究課題/領域番号 |
18K09858
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
國則 貴玄 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00626666)
|
研究分担者 |
宮脇 正一 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (80295807)
八木 孝和 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (10346166)
菅 真有 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (50779973)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ブラキシズム |
研究実績の概要 |
これまでに、胃酸分泌の抑制に関して胃酸分泌抑制剤がブラキシズムを有意に抑制することを明らかにしたが、30-40%の患者には効果がないことも判明した。また、唾液分泌の一次中枢である延髄の上唾液核にアセチルコリン受容体が分布することや、ラットの迷走神経の電気刺激が唾液分泌を促進することを見出した。そこで、唾液分泌促進剤がブラキシズムの治療に役立つと考えたが、約30%の頻度で排尿障害、不整脈、悪心・嘔吐、喘息発作などの副作用があるという欠点があった。また、迷走神経刺激装置がブラキシズムの治療に役立つとも考えられたが、適応症がてんかんであることに加え、外科的侵襲を伴うという欠点があった。 耳介などの体表の一部には、迷走神経の枝が分布しており、副作用がなく、かつ侵襲のない迷走神経刺激方法として、迷走神経の枝が分布する耳介を電気刺激する方法や食物由来の化学物質であるカプサイシンにより、嚥下機能の改善を認めたとの報告があり、経皮的刺激が唾液分泌や嚥下ならびにそれに続く食道の蠕動運動を促進して、ブラキシズムの治療に役立つと考えられた。そこで、健常者3名(男性2名、女性1名)を対象に、耳介への経皮的刺激が唾液流出率および副交感神経活動を促進するかどうか予備実験を行った結果、耳介への経皮的刺激は唾液分泌と副交感神経活動を促進した。 このことから経皮的迷走神経刺激が唾液分泌や嚥下ならびにそれに続く食道の蠕動運動を促進して、ブラキシズムの抑制に役立つのではないかと考え、食道内の酸クリアランス促進によりブラキシズムを抑制する経皮的刺激療法の開発を本研究の目的とした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
動物実験として、セボフルレンによる吸入全身麻酔下で、Wistar系雄性ラットの左側顎下腺導管にφ0.8mmのカニューレを挿入し、圧力・歪み応力増幅装置、データ集積装置で食道の蠕動運動、唾液、嚥下等を記録可能なモデルラットを作製する予定であったが、手技が非常に難しく、安定したデータを採得できていない。臨床研究においては、被検者の獲得が進んでおらず、検証ができていない。
|
今後の研究の推進方策 |
動物実験については、モデルラットの作製を継続し、経皮的刺激と食道の蠕動運動の記録と免疫組織化学的検討を行う。臨床研究については、引き続き被験者の獲得を継続し、30年度に得られた最適な刺激方法を応用した経皮的刺激システムにより、睡眠時ブラキシズムの頻度が有意に減少するかどうかの検証を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)動物実験として、セボフルレンによる吸入全身麻酔下で、Wistar系雄性ラットの左側顎下腺導管にφ0.8mmのカニューレを挿入し、圧力・歪み応力増幅装置、データ集積装置で食道の蠕動運動、唾液、嚥下等を記録可能なモデルラットを作製する予定であったが、手技が非常に難しく、実験が進んでいない。臨床研究においては、睡眠時ポリグラフ検査への同意が得られず、検証ができていない。(使用計画)進捗の遅れている動物実験のためのラットや消耗品の購入にあてるほか、臨床研究の必要経費にもあてる予定である。
|