研究課題
小児閉塞性無呼吸症候群 (OSAS)の罹患率は2%前後で、睡眠障害に伴う眠気、体調不良、学業不振、成長障害だけでなく、重症例では高血圧、呼吸不全、心不全を認める。また、ダウン症児ではOSAの罹患率が50%以上とも言われ、呼吸確保のために胡坐で寝る場合もある。この状況の改善には、通気障害部位に応じた治療選択が重要だが、上気道形態は複雑であり正確な原因部位の特定が難しいため、第一選択のアデノイド切除・口蓋扁桃摘出術の治癒率は60%程度と低い。この問題の解決の糸口として、小児閉塞性無呼吸症候群 (OSAS)の原因部位の的確な検出が可能となる気道流体解析モデルの構築を図った結果、睡眠無呼吸時に変動する小児の上気道通気障害部位の検出が可能となった。加えて小児に特徴的な原因である咽頭扁桃や口蓋扁桃の異常に対し、手術適応を判定する各肥大度の新しい評価方法を提示し、アメリカ睡眠医学会誌に掲載された。さらに、OSAの罹患率が高い口唇口蓋裂児では、鼻腔ならびに咽頭扁桃が特徴的原因部位になることをアメリカ矯正学雑誌に、また、鼻腔異常には上顎急速拡大が有効であることをOrthodontics and Craniofacial Research誌に掲載された。本課題で、最適な治療方法を選択して飛躍的な治癒率改善につながる精度の高い障害部位特定診断モデルを開発し、小児医療への実用化に向けて大きな貢献ができた。
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