研究課題/領域番号 |
18K09862
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
溝口 到 東北大学, 歯学研究科, 教授 (20200032)
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研究分担者 |
飯嶋 雅弘 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (20305915)
鳥谷 奈保子 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (20433435)
岡山 三紀 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (30382500)
荒川 俊哉 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40306254)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 関節円板 / 関節荷重 / 細胞外マトリックス / コラーゲン / プロテオグリカン |
研究実績の概要 |
本研究では,顎関節組織の生体力学的力に対する細胞外マトリックスのたんぱく質とmRNAの局在および発現反応性を明らかにすることを目的とし,成長期ラット(生後7週齢雄性ラット)の切歯部咬合挙上モデルを用いて,関節負荷の人為的増大により関節円板に生じる組織学的変化および細胞外マトリックスのmRNA発現の変化を検討し,以下の結果を得た.(1)組織学的検討から,実験群の関節円板では咬合挙上後2週以降、円板後方肥厚部の厚径の増加を認めたが,中央狭窄部と前方肥厚部では厚径の増加はみられなかった.また,実験群の関節円板の後方肥厚部におけるトルイジンブルー染色のメタクロマジー染色強度の亢進を認めた.このことは、本実験系での関節荷重不可は円板後方肥厚部に限局していることを示している.関節円板における細胞数と密度は 1週に増加を認めた.(2)関節円板における実験群のDNA含有量は実験期間の1週と4週で対照群に比べ有意に増加した.(3) GAG含有量は実験期間を通じ,実験群で有意な増加を認めた.(4)関節円板におけるcollagen含有量は実験期間を通じ,両群に有意差は認めなかった.(5)関節円板における各collagen mRNAの発現は,Ⅰ型collagenは1週,Ⅲ型collagenは1,2週に高値を示した.Ⅱ型collagenは1,2,3週に低値を示した.ProteoglycanのmRNA発現量は,実験群の1週でbiglycan,decorin,PRELP,mimecanが,1,2週でfibromodulin,lumican,chondroadherinが有意に高い値を示した.以上のことから, 成長期ラット関節円板は,関節荷重の亢進に対して細胞外マトリックスの発現を介して適応反応を示すことが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関節荷重の付加方法が確立され、円板の主要な細胞外マトリックスの発現が明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
荷重負荷による顎関節単位での変化を解明するにあたり,下顎頭軟骨における局在は明らかにされていないプロテオグリカンSLRPについて,適切な抗体による免疫組織化学やin situ hybridizationを利用して,下顎頭軟骨でのSLRPのタンパク質やmRNA発現を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に用いるⅠ型、Ⅱ型及びⅢ型コラーゲン抗体、chondroadherin抗体の選定に時間がかかったため、各種コラーゲン抗体の購入は、次年度に行うことした。 Ⅱ型コラーゲンの後退による免疫染色に用いる各種薬剤等も次年度に購入することとした。
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