研究課題
顎関節を構成する主要な細胞外マトリックスは、組織の形態維持、機械的特性、脆弱性および顎関節症などの病的変化において重要な役割を担っている。本研究では、7週齢Wistarラットの切歯部バイトプレートを用いて顎関節の関節荷重を増大させる実験モデルを用い、両群の関節円板について円板組織の機械的特性に関わる主要な細胞外マトリックスであるプロテオグリカン、Ⅰ型、Ⅱ型およびⅢ型コラーゲンの局在と発現にどのような変化が生じるのかについて検討した。その結果、以下のことが明らかになった。(1) 2週以降、関節円板後方肥厚部での厚径の増大とトルイジンブルー染色の染色性の亢進(グリコサミノグリカンの集積)がみられた。このグリコサミノグリカンの集積は、関節円板の後方肥厚部に限局しており、この領域が切歯咬合時での機能力の負荷部位であることを示唆している。(2) 顎関節への過重負荷の増大によってプロテオグリカンでは挙上2週でversicanとbiglycanのmRNA発現が亢進し、3週目でdecorinのmRNA発現が亢進した。(3) コラーゲンでは1週後にⅠ型コラーゲンのmRNA発現が減少し、Ⅲ型コラーゲンのmRNA発現が亢進した。3週以降はⅠ型コラーゲンのmRNA発現が亢進し、Ⅲ型コラーゲンのmRNA発現が減少した。Ⅱ型コラーゲンの発現の変化はみられなかった。以上の結果から、咬合改変に伴う関節荷重の増大は、関節円板の細胞外基質のmRNA発現に影響を及ぼすことが明らかになった。今後は、今まで得られた知見をもとに、さらに円板の細胞外基質のmRNA発現の領域差について検討していく必要がある。
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