研究課題/領域番号 |
18K09871
|
研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所) |
研究代表者 |
佐々木 康成 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (70332848)
|
研究分担者 |
成瀬 正啓 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医師 (00756273)
田谷 雄二 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (30197587)
鶴崎 美徳 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 主任研究員 (70392040)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 舌挺出 / 3D画像解析 / 頭部エックス線規格写真解析 / 舌挺出関連遺伝子 |
研究実績の概要 |
舌挺出関連症候群であるBeckwith-Wiedemann症候群、Hunter症候群、およびダウン症候群において、舌の挺出量を定量化するため、3D画像撮影装置(新規設備)を用いて撮影し、専用ソフトを用いて口唇からの突出量を分析した。予備研究として、新規設備の3D画像撮影装置と、専用ソフトを用いた口唇からの舌の突出量の定量化についてカスタマイズした。舌の突出量および舌形態の2次元、3次元評価として精度が優れていることを確認した。また、矯正治療中の患者においては、矯正学的精査のために撮影された側方頭部エックス線規格写真から、安静時舌の突出を伴う群において、気道および骨格についての計測項目と舌挺出の関係を検索した。研究に際しては院内倫理委員会の承認を得た。結果、Hunter症候群およびTurner症候群各1名、Beckwith-Wiedemann症候群2名およびダウン症候群11名の合計15名であった。Turner症候群およびBeckwith-Wiedemann症候群各1名およびダウン症候群8名は、開咬あるいは反対咬合での矯正治療中であった。資料がそろっている各1名について、Beckwith-Wiedemann症候群は巨舌が歯列咬合状態に影響していることが明らかであったことに対して、Turner症候群は、舌の弛緩挺出が影響しており、症候群の違いによって、舌形態あるいは機能に異常をきたし顎顔面頭蓋成長へ影響していることが示唆された。また、舌形態臨床診断として3D画像解析装置の有効性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
舌形態の3次元評価として計画した画像解析装置について、次年度から繰り上げ予算申請での購入手続きにより納入が遅れたため
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度に引き続き、舌形態と顎顔面頭蓋の成長との関係について検索する。そして、各症候群、舌挺出に関与する遺伝子領域において、正常咬合群-不正咬合群(開咬・反対咬合)間、および舌の挺出群―正常群の間での違いを明らかにする。舌挺出について安静時のVTR記録を行い、臨床試料がそろった各症候群患児について、それぞれ頬粘膜内側から粘膜上皮細胞を採取する。得られた患者DNA検体について、Nextera Rapid キャプチャーカスタム濃縮キット(Illumina社)を用いて、症候群関連領域内に局在しているDSCR3、DSCR4、DSCR8、DSCR9、DSCR10の各遺伝子群に対してプローブライブラリーを作製する。キットを用いて、遺伝子特異的にキャプチャーおよび増幅し、この増幅産物を委託してシークエンス解析を行う。得られたシークエンスデータは独自に開発したプログラムで解析し、コールされた全バリアントからダウン症関連領域内に局在している遺伝子群の変異の有無を確認する。検出された変異に関しては、通常のキャピラリーシークエンスにより偽陽性の確認を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予算申請していた3D画像解析装置の購入に際し、前倒し請求が必要となり、納入までに時間を要したため、研究に遅れが生じた。 使用計画:解析用試薬・消耗品および学会参加旅費として使用する。
|