研究課題/領域番号 |
18K09871
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所) |
研究代表者 |
佐々木 康成 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 歯科医師 (70332848)
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研究分担者 |
成瀬 正啓 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 歯科医長 (00756273)
田谷 雄二 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (30197587)
鶴崎 美徳 相模女子大学, 栄養科学部, 准教授 (70392040)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 口腔機能発達不全 / 舌・口唇機能 / 舌形態 / 歯列咬合異常 |
研究実績の概要 |
本年度においては, 口腔機能発達不全症の診断を受けた健常患児の口腔機能と歯列咬合異常の関係および訓練・指導の効果を評価した。2022年3月までの間に口腔機能発達不全症診断に基づき口腔機能・形態評価した119名(女児61名、平均年齢 6歳7か月; 男児58名,平均年齢,7歳4か月)を対象とした。1か月~3か月毎に受診し,3か月および6か月において中間および最終評価をそれぞれ行った.評価としては、摂食機能や口腔習癖に関わる問診、歯列咬合および軟組織の検診、舌圧(JMS舌圧測定器、株式会社ジェイ・エム・エス)・口唇圧(歯科用口唇筋力固定装置、株式会社松風) を用いた最大圧測定を行った。さらに、指導効果を認めた患者については最大1年間の訓練を継続して再評価を行った。舌圧、口唇圧の向上あるいは口腔機能発達不全診断項目から1項目以上の改善を認めた場合、「改善」と定義した。結果として、1)診断時平均月齢は、女児79.1M(6歳7か月)、男児87.7M(7歳4か月)で性差を認めなかった。2)119例中82例(68.9%)に咬合異常を認め、咬合異常の半数以上の49例が開咬であった。3)継続訓練中の29例除く90例中の8例(8.9%)に、訓練を通した咬合状態の改善を、特に開咬において7例(14.2%)に、咬合状態の改善を認めた。さらに45例(50%)に舌圧あるいは口唇圧の改善を認めた。4)健常児における舌形態と咬合異常や口腔機能との関連は依然不明である。このように、健常児における咬合異常は、舌圧・口唇圧などの機能低下と相互に関連して筋機能の訓練によって改善する割合が高いことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先天異常患児の予約・試料採取の困難にともない対象患児の計画変更が生じたため準備に期間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
先天異常患児の予約および試料採取の困難に伴い 口腔機能発達不全症の舌形態について3Dカメラを用いて形態評価を行い、口唇・舌機能および舌形態について、健全歯列および不正咬合の間で比較検討を行い、これらの要因が歯列咬合に及ぼす影響について明らかにする。さらに過去に分析した先天異常児との間での比較を行い、得られた結果について学会および論文発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
試料採取の遂行の遅延により次年度使用額が生じた。口腔機能発達不全にともなう咬合異常と関連して舌形態がどのように影響しているか検討するため、舌形態の3D画像解析および口腔機能解析を進め、得られたデータをもとに学会発表および論文発表を行う。
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