研究課題
平成30年度については、東京都内2カ所において、地域在住高齢者を対象とした調査事業を行い、オーラルフレイルの発現率について実態把握を行うとともに、関連要因の探索を行った。A地区では、734名(平均年齢79.1±4.5歳)分のデータを、B地区では、760名(平均年齢73.5±6.7歳)分のデータを収集した。調査項目は、口腔内に関連する項目ほか、食生活および口腔保健に関する質問項目、うつ尺度、認知機能、生活状況(同居の有無、孤食の状況等)とした。口腔に関する項目として、Tanakaらの報告によるオーラルフレイルの定義に基づき、現在歯数、機能歯数、グミによる咀嚼能力評価、嚥下機能評価、オーラルディアドコキネシス、舌圧を評価したほか、口腔乾燥度、口腔衛生状態、口腔保健行動についても情報の収集を行った。分析の結果、オーラルフレイルの発現頻度は、A地区では、男性21.5%(61名)、女性18.9%(85名)であり、男女で有意差は認められなかった。一方、B地区では、8.6%であり、これの際は対象者の年齢による影響が大きいと考えられた。オーラルフレイルの発現に関する要因について多変量解析を行ったところ、食品多様性や孤食の有無、うつ傾向と有意な関連を示していた。今回の調査では、来場型健診受診者を対象としており、比較的日常生活自立度が高い高齢者だったが、フレイルの発現は比較的高頻度であったことから、早期発見・早期対処の必要性が示唆されたものと考えられる。今後は、オーラルフレイルのスクリーニング指標を考案し、その有効性と妥当性を評価するとともに、カットオフ値の算出を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
新たな調査フィールドを獲得したことで、オーラルフレイルに関連する基礎データが想定より多く収集することができた。
当該年度に収集したデータは、過去の調査データとの連結により、縦断的分析が可能である。そのため、次年度は、オーラルフレイルのリスク因子の探索を、縦断データを用いて行う。また、大規模調査において、試作した簡易版オーラルフレイル評価尺度に関する信頼性および妥当性を検証する予定である。
当該年度は、地域在住高齢者の健康調査事業における支出が、当初の予定よりも低く抑えることが出来たため、次年度以降に予算を傾注することとした。次年度以降も、尺度の信頼性及び妥当性の検証のために継続的に調査を実施する予定である。
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