研究課題/領域番号 |
18K09874
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
小原 由紀 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 専門副部長 (00599037)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | オーラルフレイル / 口腔乾燥 / 身体的フレイル / Frailty |
研究実績の概要 |
令和2年度は、新型コロナウィルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言の影響があり、感染リスクの高い高齢者に対する調査事業については、大幅な規模縮小を余儀なくされた。 そのため令和元年度までに収集したデータの解析および研究成果の公表を行うこととした。オーラルフレイルの中でも、口腔乾燥がフレイルに与える影響に着目し、横断データおよび縦断データを用いて検討を行った。 横断研究には、令和元年度に板橋お達者健診受診者643名(平均年齢73.9歳)分のデータを分析対象とし、改定日本版JHS基準を用いたフレイルの有無と口腔乾燥感との関連性を検討した。その結果、フレイルは4.5%、プレフレイルは49.8%が該当した。順序ロジスティック回帰分析の結果、口腔乾燥感の評価尺度であるSummated Xerostomia Inventoryの総得点がフレイルの有意な因子であった(オッズ比1.13, 95%信頼区間1.06-1.20)。 一方、5年間の縦断データを用いた分析では、平成26年のお達者健診受診者762名のうち、データ欠損等を除き、令和元年度の調査時点まで追跡可能であった609名分のデータを対象とした。口腔乾燥感の有訴率は27.2%であり、Cox比例ハザード分析を用いて年齢、性別、服用薬の影響等を統計上調整しても、口腔乾燥感の有無が、5年間のフレイル発現の有意な関連要因であることが示された(ハザード比 1.80, 95%信頼区間 1.22-2.66)。口腔乾燥感は、将来のフレイルのリスクを高める因子であり、口腔機能低下の兆候であるオーラルフレイルのみならず心身機能の低下の早期スクリーニング可能な質問項目であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和元年度は、オーラルフレイルを簡便に評価できる指標の妥当性を検証する想定であったが、新型コロナウィルス感染症の拡大により、全身リスクを高い高齢者に対する口腔評価を回避せざる得なかった。そのためデータの収集に遅滞が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、感染対策に十分配慮しながら地域在住高齢者を対象とした調査を実施し、研究遂行に必要なサンプルサイズを得る予定である。得られたデータに基づき、オーラルフレイルを簡便に評価できる指標の信頼性と妥当性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は、新型コロナウィルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言の影響があり、感染リスクの高い高齢者に対する調査事業については、大幅な規模縮小を余儀なくされたため、実態調査遂行のための予算の執行がなされなかった。
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