研究課題/領域番号 |
18K09880
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河口 浩之 広島大学, 病院(歯), 教授 (10224750)
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研究分担者 |
太田 耕司 広島大学, 病院(歯), 講師 (20335681)
大林 泰二 広島大学, 病院(歯), 病院助教 (30735303)
西 裕美 広島大学, 病院(歯), 助教 (70403558)
新谷 智章 広島大学, 病院(歯), 助教 (90403518)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 周術期口腔機能管理 |
研究実績の概要 |
本研究の当該年度の計画は、本研究を本学倫理委員会の承認を得て、がん治療の化学療法中の患者に対しての何症例かプロバイオティクスのタブレットを投与した研究を開始している予定であった。しかし、本研究でのタブレット使用が疫学研究に当たらず、臨床研究扱いになるということから研究計画申請書の書き変えと数十万円に及ぶ臨床研究への申請金の工面が難しかったことから申請を平成31年度に持ち越さないといけない状況となった。そこで、当該年度は、タブレット使用の予備研究として、化学療法における発熱性好中球減少症(FN)と口腔環境について後ろ向き研究を実施した。化学療法患者79例を対象とし、通常の口腔内診察に加えてう蝕や歯周病の程度を数値化して感染源リスクを評価した。また、歯周組織検査からPISA(periodontal inflamed surface area)を用いて歯周病の状態を評価し、FNとの関係を検討した。その結果、FN発症群では口腔内感染リスクスコアが非FN発症群と比較し高かった。さらに、PISA値が高い症例はFN発症率が高かった。このことから、好中球減少期には口腔細菌が歯周ポケット等から体内に侵入し、菌血症から発熱などを引き起こす可能性があり、口腔内細菌を管理することは有用な支持療法となりえることが考えられた。この当該年度の基礎データをもとに、本学倫理委員会で臨床研究の承認を得て本研究を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
予定では、本研究は現在、タブレット投与の症例を何症例か行っている計画であった。しかし、臨床研究法の制定に伴う規則の変更から、現在本研究の進行が遅れている状況である。本研究は疫学研究で行えるものと思い、疫学研究として本学倫理委員会に申請したところ、臨床研究法の制定に伴う規則の変更から、本研究で使用するタブレット投与は臨床研究としてのみ承認されるということであった。また、その臨床研究に申請するには、当該年度では数十万円の申請料が必要ということであった。申請書を大幅に書き換える必要がでたことと、当該年度には数十万円という臨床研究の申請料を工面する予算計画がなかったことから、臨床研究の計画を変更しなければならなくなった。すなわち、最初の2年間で症例数をカバーする予定であったが、本研究の最終年度も臨床研究登録期間として、遅れた研究を補う計画とした。現在、臨床研究の登録料の予算も工面でき、臨床研究として倫理委員会に申請する状況が確立された。今後、遅れた進行を取り戻すべく、ペースを上げて臨床研究を進めていく所存である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの基礎データから、口腔内細菌を管理することは有用な支持療法となりえることが考えられた。今後は、臨床研究として、タブレットを投与したことによる口腔内環境の変化を評価し、有害事象との関連性を検討していく予定である。遅れている現状の本研究は、症例登録期間を最終年度まで延長することで症例数を挽回していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行が遅れており、当該年度に本研究の症例解析に使用する物品、試薬等の購入が予定より少なかったことが次年度使用額が生じた大きな理由である。次年度は、当該年度の不足分も加味した物品等の使用や経費が予定されている。
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