研究課題
本研究の目的は、がん治療患者を対象として、口腔内細菌叢の調整にプロバイオティクスを用い、口腔内の合併症や細菌叢の変化を観察し、口腔内細菌叢が疾患の病態や口腔内合併症の評価や予測に有用なバイオマーカーであるか解析を行うことである。対象疾患は消化器外科の悪性腫瘍疾患とした。臨床研究の対象者は、対象疾患の化学療法患者としたが、以降の特定臨床研究の手続きを行う時点で、数多くの紹介がある乳がん化学療法患者とした。本研究は倫理委員会承認後2年間で100症例を目標に臨床研究を行う予定であったが、本研究の扱いが特定臨床研究となったことで、煩雑な手続きとなり、研究の審査段階で多くの時間を費やした。また、研究のデザインも被験者数60名の非盲検ランダム化並行群間比較研究とした。2021年3月に倫理委員会の承認を得て、病院長にその旨と臨床研究実施計画番号(jRAT番号)を報告し、システムに入力、2021年5月から実質的な臨床研究開始となった。しかし、コロナ禍の折、対象患者に関しても、コロナ前に予定していた状況とは大きく変わり、医科から対象疾患で紹介される本研究の対象者は予想外に少なくなっている。現在目標の約8割46例を登録している。ここまでの解析結果は、摂取群が非摂取群と比較してNCI-CTCAE ver5.0 Grade2以上の口腔粘膜炎を発症した割合は少なく、口腔内フローラの細菌バランスを整えることで、化学療法による口腔粘膜炎の二次感染を抑制する可能性が示唆された。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
Scientific Reports
巻: 12 ページ: 2483
10.1038/s41598-022-06485-0