研究課題/領域番号 |
18K09881
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
坂本 治美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10805253)
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研究分担者 |
日野出 大輔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (70189801)
吉岡 昌美 徳島文理大学, 保健福祉学部, 教授 (90243708)
福井 誠 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (50325289)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 妊婦 / 口腔内状況 / 保健行動 / プレママ教室 / 歯科健康診査 / 喫煙習慣 / 1歳6か月児健康診査 / 乳歯う蝕罹患 |
研究実績の概要 |
妊婦の口腔内状況と保健行動との関連性を過去のデータを用いて調べた。徳島県内の産婦人科病院を受診した妊婦904名のアンケート結果から、口腔内に気になる症状があると答えた者は40.1%で、定期的に歯科健診を受けている者は39.0%であり、「口腔内の気になる症状」の有無で群分けした結果、気になる症状なしの群では定期的に歯科健診を受けている者の割合が有意に高かった。また、プレママ教室に参加した妊婦155名へのアンケート結果から、たまたま参加した者は79.9%であったが、受講後には93.5%の者が「歯科保健の重要性についてよく理解できた」と答え、99.4%の者が「何らかの保健行動を実践しようと思う」と回答した。実践しようと思う保健行動の内訳では「自分が定期健診を受ける」が72.3%と最も多かった。 更にN市で実施している無料妊婦歯科健康診査を受診した妊婦692名を分析対象として分析を行った。定期的に歯科を受診していない群(未受診群)では、定期受診群に比べ歯や口の中の状態に不満や不自由を訴えた者が多く、「ブラッシング時の出血」「フロスの使用」の項目に有意な差が認められた。また、歯科健診結果から、未受診群は定期的受診群に比べ要指導・要精密検査と判定された者の割合が多く、未処置歯数が有意に多く認められた。 徳島県N市で実施している1歳6か月児健康診査を受診した母子256名を対象とし、「非喫煙者」「元喫煙者」「現喫煙者」の3群に分け、母親の喫煙習慣と子どもの歯科健診結果、母親の歯科保健行動及び知識の関連性について分析を行った。その結果、「乳歯う蝕罹患型」「歯科医院の受診理由」「母親の年齢」の項目では、母親の喫煙習慣と関連性が認められた。 以上の結果から、母親の保健行動は自身の口腔状況だけでなく、幼児の乳歯う蝕罹患とも密接に関連することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
妊婦の口腔内状況と保健行動との関連性について供与されたデータを用いた分析を行い、興味深い知見を得た。特に、第65回四国公衆衛生学会では「妊婦歯科健康診査受診者の口腔内状況と関連要因について」という演題にて、第14回日本禁煙科学会では「妊産婦の喫煙習慣と口腔保健の関連性」という演題にてポスター発表を行った。また、国際学会においても本研究課題に関連した内容「The usefulness of prenatal dental health check-ups」について研究成果を発表することができた。 一方、上記で得られた結果の一部は、令和2年四国公衆衛生学会雑誌に投稿して報告した。
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今後の研究の推進方策 |
妊婦歯科健康診査、1歳6か月児および3歳児の歯科健診結果とアンケート調査およびリスク検査のデータを連結し、連結データを2項ロジスティック回帰分析およびパス解析などの手法を用い、う蝕ハイリスク幼児の関連因子を解析する。これにより、ハイリスクアプローチとしての効果的な介入手法について検討するとともに、興味ある知見を今後の地域保健施策へ還元できるよう、「妊産婦期歯科保健サービス」モデルに活用するパンフレットを試作する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の拡大により、現場での歯科保健活動が出来なかった期間があったため、その際に使用する物品の購入が出来なかった。未使用の購入費は、次年度の現場での歯科保健活動において用いる物品購入に充当する予定である。
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