研究課題/領域番号 |
18K09882
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古田 美智子 九州大学, 歯学研究院, 講師 (20509591)
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研究分担者 |
竹内 研時 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (10712680)
山下 喜久 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20192403)
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 歯の喪失 / 性差 / 終末糖化産物 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、歯科健診を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため歯科健診を中止した。そのため、過去の歯科健診結果を用いて口腔状態は評価し、過去に採取した血清試料を用いて、終末糖化産物(advanced glycation end-products: AGE)の可溶型RAGE(soluble receptor for AGE: sRAGE)の測定を行った。RAGEは細胞内尾部、膜貫通領域および細胞外領域で構成される。細胞外領域は、リガンドと結合するV領域のほかに、C1、C2領域の3つの免疫グロブリン様領域から構成される。RAGEには細胞内シグナル伝達を引き起こす膜結合型のほかに、細胞外領域切断によって産生されるsRAGEの存在が知られている。sRAGEはリガンド結合部位があるため、細胞外でAGEをはじめとするリガンドを捕捉し細胞表面の膜結合型RAGEとの相互作用を阻害することでデコイ受容体として働くことが分かっている。冠動脈疾患やアルツハイマー病の患者ではsRAGEレベルが低下していることが報告されている。 血漿中sRAGEレベルは女性に比べ、男性のほうが低かった。また、現在歯数は女性のほうが多い傾向があり、歯周組織状態は女性のほうが良好であった。sRAGEや口腔状態に男女差が認められ、sRAGEと口腔状態の関連については男女で層別化して解析を行った。男女別にsRAGEの中央値で、高値群と低値群に分けた。女性において、sRAGE低値群では平均臨床アタッチメントレベルが高く、現在歯数が少ない傾向にあった。口腔状態の2年後の変化として、歯周状態の悪化(アタッチメントロス3mm以上が1歯以上と定義)と2本以上の歯の喪失を評価した。ロジスティック回帰分析により、年齢、歯科医院への定期受診、喫煙、body mass indexで調整した結果、女性においてsRAGEが低下していると2年後に歯が喪失しているリスクが高いことが認められた。
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