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2019 年度 実施状況報告書

周術期口腔粘膜炎インディケータとしての唾液炎症マーカーの検討

研究課題

研究課題/領域番号 18K09889
研究機関岩手医科大学

研究代表者

岸 光男  岩手医科大学, 歯学部, 教授 (60295988)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードがん化学療法 / 口腔粘膜炎 / 唾液検査 / 発症予測 / 白血球数 / LDH
研究実績の概要

実際に被験者を対象とする前の予備的研究として、ベッドサイドでの適用可能な簡易唾液検査キットSill-Ha(Arkray、京都)による唾液中白血球とたんぱく量と、委託検査(岩手県予防医学協会)によるLDH、Hbの測定結果を比較した。まず、研究者本人の唾液試料を複数回、別条件で採取し、検体採取から試料委託までの適切な保存法および運搬法を検討した。その後、委託検査のための20代から60代の健全な男女10名(男性4名、女性6名)を対象とし、連続して3日間唾液を採取した。唾液採取前に検査キットSill-Haを用いた唾液成分の分析を行った。その結果、委託検査で測定されたLDHと唾液簡易キットで測定された白血球の相関係数は1日目で0.721、2日目0.770、3日目の相関係数0.766でいずれも有意な強い相関を認めた(p<0.05)。また3日間で計測したすべての検体の結果を合計した場合のLDHと白血球の相関係数は0.793(p<0.001)であった。これにより、簡易検査キットは唾液炎症マーカーとして有用性が高いことが予測された。
これらの結果に基づき2019年7月29日に岩手医科大学歯学部倫理委員会から承認を受け、岩手医科大学附属病院血液腫瘍内科において研究を開始した。
病棟の医師、看護師をはじめとする医療スタッフに対し、研究の意義、方法に関する複数回の説明会を開催し、協力を依頼し、現在、造血幹細胞移植予定患者を対象として口腔内情報ならびに唾液試料を収集している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

岩手医科大学附属病院血液腫瘍内科病棟入院患者を対象として研究を行うこととしたため、病棟看護師等に研究の趣旨ならびに方法を説明する機会を複数回設け、協力への理解を得ることに約2か月を要した。その後研究開始直後の令和元年9月に岩手医科大学附属病院はそれまでの盛岡市中心部から約10 km離れた新病院に移転した。これにより、移転前後の幹細胞移植術の実施を控えた経緯があり、2020年になってから実際の患者を対象とした観察ならびに唾液試料採取を開始した。そのうえ、2月からCOVID-19感染拡大により、手術の延期などが数多く生じ、現在対象者の獲得が困難な状況となっている。

今後の研究の推進方策

現在1月あたり2-3例の対象者獲得が見込まれている。今後、11月頃までに30例程度の結果が得られたところで結果を解析する予定である。当初予定していた120例には及ばないが、その分、現在造血幹細胞移植患者に症例を絞り、同疾患患者についての限定した結果を示せるものと考える。

次年度使用額が生じた理由

実験開始時期の遅延ならびに被験の獲得が予想を大きく下回ったことにより、前年度分析委託費が消費されなかった。今年度、例数を増やすことによる委託費の使用、ならびに口腔カンジダの定量的PCR法を確立したため定量解析などの分析を加えるための試薬等に使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 唾液による歯周病検査と簡易検査キットの炎症マーカーの関連2020

    • 著者名/発表者名
      203.杉山由紀子、阿部晶子、佐藤俊郎、大石泰子、難波眞記、佐藤華子、岸 光男
    • 学会等名
      第69回日本口腔衛生学会総会・学術大会
  • [学会発表] 地域高齢者における口腔カンジダと口腔癌、口腔潜在性悪性疾患発症の関連2019

    • 著者名/発表者名
      杉山由紀子、佐藤俊郎、野宮孝之、下田陽樹、坂田清美、小林誠一郎、小川 彰、岸 光男
    • 学会等名
      第9回東北口腔衛生学会
  • [学会発表] 周術期における口腔カンジダ量と口腔粘膜炎の関連についての検討2019

    • 著者名/発表者名
      須田美樹
    • 学会等名
      岩手医科大学歯学会第87回例会

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公開日: 2021-01-27  

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