がん化学療法による口腔粘膜炎は一次性粘膜炎と二次性粘膜炎に分類される。一次性は抗がん剤の直接作用であり、二次性のものは骨髄抑制による白血球減少により、口腔内が易感染状態になることによると考えられている。しかし、血液中の白血球低下がなぜ口腔の易感染性につながるのかを研究した例はほとんどない。今回の研究で、化学療法による血液中の白血球低下には症例差が大きいこと、血液中の白血球低下率が高い者は唾液中でも同様に低下率が高いことが観察され、化学療法の白血球減少への影響は血液と同様に唾液にも現れることが観察された。このことは二次性口腔粘膜炎の発症機序の解明と予防法の開発に大きく寄与するものと考えられる。
|