研究課題
近年腸内マイクロビオータの機能的な解析が飛躍的に進展され、腸内マイクロビオータの細菌構成異常(dysbiosis)は生活習慣病である肥満、動脈硬化、糖尿病を引き起こすこと、さらには自己免疫疾患や自閉症などに関与していることも報告されている。腸内マイクロビオータのdysbiosisは主に食餌や抗菌薬服用により起きることが報告されている。本研究では口腔内に存在する細菌が産生する抗菌物質であるランチビオティクスバクテリオシンに着目し、ランチビオティクスバクテリオシンを産生する細菌を口腔内に保菌することが腸内マイクロビオータdysbiosisの原因となりうるかについて検討した。小児69人の唾液サンプルを用いて、口腔内細菌が産生するランチビオテックスバクテリオシンであるMutacin I/IIIおよびSmbを産生する細菌保菌者を確認したところ13人で検出された。そこで口腔内にランチビオティクスバクテリオシンを産生する細菌の保菌者(13人)と非保菌者(56人)とで、腸内マイクロビオータの比較検討を行ったところ、ランチビオテックスバクテリオシン産生細菌保菌者グループは非保菌者グループと比較して、α-diversityの低下、Firmicutes 門細菌占有率の低下、Bacteroidetes門細菌占有率の上昇が起きていることが明らかとなった。本結果は口腔内にランチビオティクスバクテリオシン産生細菌を保菌することが、腸内マイクロビオータのdysbiosisの原因となる可能性を示唆した。本結果をInternational Journal of Molecular Sciencesにて報告した。
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International Journal of Molecular Sciences
巻: 25 ページ: 3343
10.3390/ijms22073343.