研究課題
本研究の目的は、歯周病の重症化を予測できる唾液中のmicroRNAを探索することである。前年度では、マイクロアレイ解析により9種類の唾液中のmicroRNA(hsa-miR-5571-5p、hsa-miR-17-3p、hsa-let-7f-5p、hsa-miR-4724-3p、hsa-miR-99a-5p、hsa-miR-200a-3p、hsa-miR-28-5p、hsa-miR-320d、hsa-miR-31-5p)が歯周病の重症化を予測可能なバイオマーカー候補として明らかとなった。令和3年度では、これらのバイオマーカー候補の妥当性をリアルタイムPCRを用いて評価した。リアルタイムPCRによる各microRNAの発現比について、歯周病の重症化の有無で比較したところ、hsa-miR-4724を除く8種のmicroRNAでそれぞれ有意差を認めた。また、ROC曲線の描画ではhsa-miR-5571-5p、hsa-miR-17-3p、hsa-let-7f-5p、 hsa-miR-99a-5p、hsa-miR-200a-3p、hsa-miR-28-5pおよびhsa-miR-320dのArea Under the Curveが0.7を超えていた。さらに、各microRNAがどの遺伝子と関連するのかをデータベースで検索した。その結果、hsa-miR-5571-5p、hsa-let-7f-5p、hsa-miR-28-5pおよびhsa-miR-320はMAPK signaling pathwayと、そしてhsa-miR-99a-5pはケモカイン産生と密接に関連することが分かった。以上の結果から、唾液中のhsa-miR-5571-5p、hsa-let-7f-5p、hsa-miR-99a-5p、hsa-miR-28-5pおよびhsa-miR-320dは、歯周病の重症化を予測できるバイオマーカーとして有用であることが示唆された。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
International Journal of Environmental Research and Public Health
巻: 18 ページ: 8010~8010
10.3390/ijerph18158010