研究実績の概要 |
CBT, OSCEが公的実施になり、実質的に国家試験を同等の扱いになる。また既存の歯科医師国家試験も合格するのが非常に難しくなっており、歯科医学教育の改善が急務である。今までの教育方法は学業の成績のみでの指導が主流であったが、既存の指導方法では成績が改善しない学生が多数存在している。1教科だけやあと少しの点数を向上させるにはその科目のみを教えれば点数があがるが、不合格科目が多い学生や全教科で点数が低い学生は生活習慣や家庭環境の改善が必要だと感じている。そこで専門科目の成績向上だけでなく、問題解決力やコミュニケーション力などのジェネリック・スキルの改善などに、主に小中高校や文系の就職活動などで活用されてきたアセスメント・テストが歯科医学教育にも有用だと考えた。学業成績を基にした従来の評価方法と、新たにジェネリック・スキルを基にした評価を組み合わせるためにどの様なバランスでどの項目を優先的に評価すべきかを分析するためにAIの活用を試みた。 学生の学業成績データの中で経時的に比較検討する項目を整理し、どの項目が人工知能入力に適しているか比較・検討をした。その結果、1~4年生は単位試験が終了した後におこなう進級試験である総括試験を採用した。5年生は年5回おこなわれる臨床知識試験を採用し、6年生は卒業試験である学士試験を採用した。アセスメント・テストに関しては、1年生はPROGテストを、3年生にはGPS Academicテストを受験させた。3年間のデータが継続的に蓄積された。日本オラクル社の人工知能を用い、学生の学業成績とアセスメント・テストの成績を総合的に判断した結果、ジェネリック・スキルが高い学生の方が学業成績が高い傾向にあることがわかった。今後も国家試験に合格する学生の傾向や、2024年度から公的実施されるCBT、OSCEのデータも加味して解析していく予定である。
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