研究課題
「乳歯の収集とアーカイブ化」令和2年度に引き続き、令和3年度においても福島県在住小児より、乳歯を収集し、アーカイブ化した。しかし、コロナ禍のため、歯科医院を来訪する小児の数が激減したことから、直近の2年間(2020年4月から2022年3月まで)における乳歯の収集数は、200本弱となった。被ばく量の地域差に関する疫学データを得るのには、さらに収集を続けることが必要である。「ESR測定用のエナメル質サンプルの調製法」 ESR法のためのIAEAより提唱されているエナメル質サンプルの調製法は、手作業による機械的切削法である。しかし、この方法では、多数の歯からエナメル質サンプルを得ることは困難である。本研究においては、これに代わる方法として、重液分離法を考案し、効率よくエナメル質サンプルを調整する方法を開発し、論文化し投稿中である。この方法の概略は、①クラッシャーにより歯を粉砕(425-1,000 mesh)する。②比重2.6のブロモフォルム溶液あるいは、メタタングステン酸ナトリウム溶液により、象牙質とエナメル質を比重により分離する。③分離したエナメル質の化学処理(EDTAによる結晶表面のクリーニング、NaOHによる、残存有機質の除去、酢酸によるメカノラジカルの除去)である。「ESR法による炭酸ラジカル測定法の検出感度の向上」 前年度までに、サルの歯を用いて、放射線照射量とそれに比例して発生する炭酸ラジカル量の関係式を構築し、検出限界を50mGy以下にまで下げることができた。最終年度の本年度においては、この関係が、ヒト乳歯についても成り立つことを確認することができたので、本研究の最終目的である、福島県在住小児より収集した乳歯の測定に入ること可能になった。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件)
Scintific Reports
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