研究課題
永久歯の喪失原因として、主に齲蝕や歯周病の進展や外傷による抜歯が考えられる。全国の日本歯科医師会会員を対象とした調査から、永久歯の抜歯原因が歯周病(42%)、齲蝕(32%)、破折(11%)の順であることが示されている。また、歯周病による抜歯の占める割合が増加傾向にあることも指摘されている(平成17年 8020推進財団 永久歯の抜歯原因調査報告書より)。歯牙喪失につながる歯周病や齲蝕をアウトカムとしたGWAS研究報告は散見されるものの、歯牙喪失に着目した報告は認められていない。歯牙喪失に関係する遺伝的要因の探索ならびに検証を行うことを目的として検討を進めた。日本多施設共同コーホート研究静岡地区・大幸研究および京都フィールドで収集されたデータと生体試料を使用して、歯数をアウトカムとしたGWASデータ解析を実施した。3地区は共通のプロトコルに従って資料および生体試料を収集している。静岡地区は人間ドック受診者、大幸研究は地域住民、京都フィールドは主に地域住民を対象に研究参加者の登録が行われた。生活習慣、病歴、教育歴等の情報は、自記式調査票を用いて収集した。歯数は自己申告のデータを用いた。全身状態は健診データを用いて評価した。歯数のデータの欠損のない3,074名を対象としてGWASデータ解析を実施した。SNPデータは常染色体のみのimputed dataを使用した。年齢、性別、BMI、喫煙、教育歴、糖尿病などを調整因子として検討した。ゲノムワイド有意水準に到達した一塩基多型が認められた。同定された一塩基多型について、日本多施設共同コーホート研究静岡地区・大幸研究の検体を用いて再現性の検証をおこなった。現在、データ解析を進めている。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
広大歯誌
巻: 54 ページ: 63-68
巻: 54 ページ: 69-77