研究実績の概要 |
2020年度は、唾液については保存状態をそろえた全年齢層(10歳未満、10.20、30、40、50、60、70歳台以上)の検体を複数収集できた日本人とインドネシア人について、年齢との関連が報告され、かつPCRの反応条件を確立できたAおよびBのDNAメチル化スコアと性別(男・女)および国(日本・インドネシア)を説明変数とし、年齢を目的変数とする重回帰分析を行い各変数の影響を検討した。その結果、AおよびBのメチル化スコアに加えて、国籍(日本・インドネシア)も年齢に有意な影響が認められた。ターゲットBに対して、検体数の得られた20歳代で日本人とインドネシア人検体のDNAメチル化スコアを比較すると有意な差があった。これらのことから、アジア系で共有可能な推定式の検証には各ターゲットについてメチル化スコアを得た各国の検体数を必要があること、少なくとも高解像度融解曲線分析で得られたDNAメチル化スコアを指標とした年齢推定式を異なる人種に適用するには人種を考慮した何らかの補正が必要であることが示唆された。 一方で、歯牙については各部分のDNAについて論文でメチル化と年齢との関連が報告されている3種類(ターゲットA,B,C)について、第三大臼歯歯根部から抽出したDNAのメチル化スコアと年齢との相関を検討し、ターゲットAおよびCにおいて年齢との有意な相関が認められた。また、年齢を目的変数、DNAメチル化スコアと性別および萌出位置(上・下)を説明変数とする解析を行ったところ、ターゲットAのメチル化スコアが年齢に対して優位に影響を与えていることが明らかとなった。 これ等の結果を、日本法医学会学術全国集会および日本法歯科医学会大会において報告した。
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