研究課題/領域番号 |
18K09913
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
井上 良介 九州大学, 大学病院, 助教 (40423496)
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研究分担者 |
柏崎 晴彦 九州大学, 歯学研究院, 教授 (10344516)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | MCI / 口腔機能 / 巧緻性 |
研究実績の概要 |
軽度認知障害(以下、MCI)高齢者を対象に、口腔周囲筋訓練による口腔機能の回復が、認知機能や認知症の発症にどのような影響を与えら れるのかを明らかにし、認知症の発症を予防するための口腔に着目したアプローチ方法を検討することが目的である。近年の疫学調査の報告によると、歯周炎な どの歯周疾患、口唇運動機能および最大咬合力はMCIと関連性している。しかしながら、口腔機能を詳細に測定した研究はほとんどなく、口腔機能とMCIに関する エビデンスが求められている。また、手指巧緻性と認知機能との関連は報告されているが、口腔管理に必要な手指巧緻性と歯科疾患との関連性に関する報告はな い。本研究では、軽度認知障害の患者を対象に、口腔機能、手指巧緻性等の身体機能を測定し、口腔機能の低下が認知機能の低下に影響を与えるのかを検討した いと考え、本研究を計画した。現在、認知症を予防する絶対的な方法は存在しないため、本研究により口腔機能と認知症発症および進行との関連を明らかにする ことができれば、超高齢社会における認知症患者増加の抑制につながり、さらには医療費・介護費の増大抑制にもつながると考えられる。九州大学病院物忘れ外 来でMCIと診断され、研究に同意された患者を研究対象とした。年齢、性別、身長、体重、既往歴、現病歴、服薬状況、生活習慣、認知機能検査結果、三宅式記 銘力検査、レーヴン色彩マトリックス検査、画像検査結果などの情報を診療録から取得する。口腔内診査、口腔機能精密検査、身体機能検査、アンケート調査を 行う。初回検査時から6か月後に、口腔機能精密検査、身体機能検査および認知機能検査の再評価を行う。以上により得られたデータを用い、口腔機能の認知機 能低下への影響を明らかにする。 当計画書は2019年11月に当院倫理委員会で承認が得られ、本臨床研究が開始された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究対象者は九州大学病院物忘れ外来でMCIと診断された患者で、本研究に参加できる人数を1週間に1名と見積もり、研究期間である1年間で50名を目標症例数と設定していた。2020年3月まで順調にデータ収集できていたが、新型コロナウイルス感染予防目的で当病院において外来部門の縮小が行われた。その影響を受けて2020年4月以降、本研究の参加者がおらず新たなデータが得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
現在、物忘れ外来部門では外来患者数が増加してきているが、本研究参加者の希望者はいない状態である。今後のデータ収集が難航することが予測されるため、研究対象者数を大幅に小さくして解析を行う必要がある。MCI高齢者の口腔内状態、口腔機能、運動機能を調査し、それらと認知機能や認知症の病態との関連を調べることがこの研究の目的である。身体機能、特に手指巧緻性が低いと口腔内セルフケアの質が低くなり、口腔内状態が悪くなるという仮説を設定し検討する。また、6ヶ月後における各検査結果の変化をもとに分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス蔓延のため、物忘れ外来患者が減少し、それに伴い研究参加者が激減した。旅費、謝金の支出がなくなった。
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