研究課題
基盤研究(C)
本研究では、歯周病原菌Fusobacterium nucleatumがインフルエンザウイルス感染を促進していることを明らかにした。感染を促進させるメカニズムとして、宿主細胞へのF. nucleatum刺激によるHDAC1およびHDAC6の発現低下が関与している可能性がある。さらに本研究では、肺炎球菌などの宿主レセプターであるPAFRの発現を歯周病原菌Porphyromonas gingivalisが亢進し、肺炎球菌の宿主細胞への付着を増加させることを明らかにした。
微生物学
本研究により、口腔細菌、とくに歯周病原菌がインフルエンザウイルス感染や肺炎球菌感染の促進に働いていることが示唆された。そのため、口腔を健康に保つことが、インフルエンザウイルス感染の予防につながる可能性がある。さらに、インフルエンザ罹患後にしばしば細菌性肺炎を合併し重症化することがあることから、重症化を予防する上でも健康な口腔は重要と考えられる。以上のことから、本研究は、口腔環境の管理による呼吸器感染症予防法を確立する上で、科学的根拠を構築するための一助となったと考える。