研究課題/領域番号 |
18K09921
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
田口 千恵子 日本大学, 松戸歯学部, 助手(専任扱) (80434091)
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研究分担者 |
布施 恵 (長井恵) 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (30343578)
有川 量崇 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (50318325)
Bhawal Ujjal 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (50433339)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 遺伝子発現 / 制御転写因子 / シグナル経路 |
研究実績の概要 |
本研究では、肥満におけるDEC1 (Differentiated embryo-chondrocyte 1) の発現異常とFOXO1 との物理的相互作用ならびにインスリンシグナル伝達経路との関与を解明し日内リズムへの影響について検討する。DEC1 は、老化の中心的な役割を担っており、老化マーカーとしても広く知られている。そこで、肥満、生活習慣病、老化に関し、運動器症候群(ロコモティブシンドローム)に関与するシグナル伝達経路について、先に検討を行った。3ヶ月齢および加齢モデルの15ヶ月齢のSAMマウスを使用し、トータルRNAを大腿骨組織から分離した。それらの遺伝子発現およびmiRNA発現所見について、GeneSpringおよびIngenuity Pathways Analysisとの組み合わせにより、また、DNAマイクロアレイおよびmiRNAアレイを用いて解析を行った。遺伝子オントロジー(GO)分析にり、miRNAを標的とした遺伝子の極めて重要な転写関連プロセスと細胞内シグナル伝達を組み込んでいることを明らかにした。シグナル経路で、cAMP媒介シグナル、上皮接着結合シグナル、タイトジャンクションシグナル、ギャップジャンクションシグナル、カルシウムシグナル、およびサーチュインシグナルが骨老化に関与していることも明らかにした。RT-qPCRによりさらに解析したところ、加齢の制御転写因子が、miR-223-3p、miR-744-5p、miR-3103-5p、miR-4723-5pおよびmiR-6825-5pの制御に関与していることを示した。多数の組み合わせが識別されたmRNAとmiRNAの網羅的解析は、miRNAの異常発現は骨加齢において重要であることを示唆した。そして、その機能は関連シグナル上の特定遺伝子の転写を通して誘導されることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度予定していた細胞におけるDEC1、FOXO1の発現リズムおよび関連する細胞内シグナル伝達経路について、進められていない。細胞の受給にあたり学内と提供先の諸手続きに不手際があり準備が滞ってしまった。細胞の入手が済んでおり、平成31年度は研究を進める準備が出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
マウス由来歯肉上皮細胞、マウス軟骨細胞、マウスiPs(肝臓細胞由来)をHighグルコース培地またはLowグルコース培地、口腔細菌であるP.gingivalis 由来のLipopolysaccharide(LPS) 刺激の3群で培養し、4時間ごと48時間までのDEC1、FOXO1の発現リズムをリアルタイムPCR法およびウェスタンブロッティング法を用いて確認する。さらに、細胞内シグナル伝達について、PI3K/Akt、Cox-2、NF- kβなどの炎症関連経路を解析、細胞上清中の炎症性サイトカインおよびケモカインをELISA法にて確認する。肥満モデルマウスとHigh-Fat Diet摂取におけるDEC1ノックアウトマウスの継時的なDEC1・FOXO1の発現の解析(in vivo):生後18 ヵ月齢の肥満モデル( C57BL/6JHamSlc)マウスおよび12 ヵ月齢のDEC1KO マウスを用いる。DEC1 KOマウスにはHigh-Fat Dietを6か月間自由摂取させる。6か月終了後、6時間おきにタイムコースでマウスの血液、歯肉上皮、大腿骨、肝臓、脾臓、歯槽骨を採取し、リアルタイム PCR法、ウェスタンブロッティング法によりDEC1、FOXO1の発現を解析する。Flow cytometry法による骨髄単核球細胞、脾臓よりT 細胞を収集し、蛍光標識された抗CD45.1、CD45.2、B220、CD4、CD8、Gr-1、Mac-1 およびTer119 はFACS 解析(BDBiosciences, San Jose, CA) にて評価する。ELISA法にて血液中のDEC1、FOXO1タンパク質量を解析する。大腿骨・歯槽骨についてマイクロCTによる骨形態計測と免疫染色による炎症状態の評価を行う。
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