研究課題/領域番号 |
18K09922
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
Bhawal Ujjal 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (50433339)
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研究分担者 |
田中 ゆり子 東邦大学, 医学部, 講師 (40396685)
佐藤 冬樹 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (60400131)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 唾液腺 / 加齢 / 体内時計 |
研究実績の概要 |
ルシフェラーゼ・アッセイにより、DEC1遺伝子の 3’UTR 活性を調べた結果、老化により遺伝子の 3’UTR 活性は増加したが、 miRNA結合部位に変異を加えた場合、老化による増加が緩和された。次に、miRNA を過剰発現させた場合のDEC1の発現変化を測定した。その結果、老化によりDEC1の mRNA 発現量、およびタンパク産生は増加したが、miRNA の過剰発現により、この発現増加が抑制された。 一方、ルシフェラーゼ・アッセイでDEC1強制発現によるE-cadherin転写制御機構の解析を行った。PromoterはE-boxを含む約E-cadherin promoterを使用した。E-cadherin転写活性が約3.5倍抑制され、その抑制された活性はDEC1発現plasmidを濃度依存的に強制発現しても抑制がみられた。またE-cadherin遺伝子上流のE-boxにmutationを作製し、luciferase assayでDEC1強制発現によっても、E-cadherin転写活性は影響を受けなかった。DEC1強制発現によってE-cadherinの発現をリアルタイムPCR法およびウェスタンブロッティング法にて明らかにした。さらに、Chromatin immunoprecipitation (ChIP assay) を用いてDEC1がE-cadherinのE-boxに影響を及ぼすか調べた。コントロールと比べ、DEC1強制発現によりE-cadherinのprecipitateする量が増加した。また、ChIP assayを用いて癌細胞にDEC1 siRNA導入することによってE-cadherinのprecipitateする量が抑制した。以上のことから、DEC1によるE-cadherin制御機構の可能性が推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書に沿った進行を行っているが、対象となる生後24ヵ月齢マウスの作成やその系の立ち上げ等に時間を要しているため、計画書以上の進展はない。これら問題点は、これまでの各種検討により徐々に解決されていくと考えられるため、今後は更なる研究の進展が期待される。また、並行して進めているサーカディアンリズムの解析を行うにおいても、系の立ち上げ、検討に大きく時間を要しているが、こちらもこれまで検討を基に、今後研究が進展すると期待されている。 以上のことから、現在までの進捗状況は、計画書を大きく超えて進展するものではないものの、おおむね順調に進展しているものと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
1日に4時間ごとに、生後3ヵ月齢、24ヵ月齢のC57BL/6およびDEC1KOの唾液腺組織を採取し、時計遺伝子(PERIOD, BMAL1, CLOCK, CRY, DEC1) およびE-cadherinの発言を検討する。また、T 細胞移入実験においてDEC1KO (24ヵ月齢)頸部リンパ節よりT細胞(Th1.2+B220-)をセルソーター(FACS Aria III)で分収し、老年マウス(24ヵ月齢)に静注する。T細胞移入後、唾液分泌量試験を行う。さらに、唾液腺分泌量試験において麻酔下のマウスに、ピロカルピン塩酸塩0.5 mg/Kgを腹腔内投与し、投与後15分間継続的にマイクロピペットを用いて唾液を採取する。マウス体重1gあたりの唾液量を計算する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた、RNA抽出キットの購入費が少なく済んだため。また学会参加費が不要であった。昨年、DEC1強制発現によるE-cadherin転写制御機構の解析し、DEC1によるE-cadherin制御機構の可能性が推察された。このような状況から本年度は唾液腺組織におけるサーカディアンリズムの実験を計画しており、薬剤購入費として使用する。
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