研究実績の概要 |
ルシフェラーゼ・アッセイおよびChromatin immunoprecipitation (ChIP assay) により時計遺伝子DEC1によるE-cadherin制御機構の可能性が推察された。1日に4時間ごとに、生後3ヵ月齢、24ヵ月齢マウスの顎下腺組織を採取し、時計遺伝子(PERIOD, BMAL1, CLOCK, CRY, DEC1) およびE-cadherinの日内発現リズムを検討した。CLOCKの発現は各時間で変わらなかったが、PERIODの発現は夜間に強く発現し、日中には発現減弱をみた。なお、耳下腺組織についても測定予定であったが、技術的な問題を解決することが出来なかった。さらに、CLOCK、PERIODの発現に及ぼす加齢の影響を検討した。老齢マウスにCLOCK、PERIOD発現低下を誘導したが、E-cadherinの発現には変化を認めなかった。しかし、Dec1KOマウスにおいて、顎下腺の日内リズムを回復させた(論文準備中)。また、老化に伴う免疫機能低下の特徴の一つは、T細胞の分裂繰り返し能(分裂反復能)の低下であり、この点を我々はマウス顎下腺組織を用いて明らかにした。高度に精製したT細胞の分裂反応は、老齢マウスでは若齢マウスに比し有意に低下していた。さらに、唾液腺分泌量試験において麻酔下のマウスに、ピロカルピン塩酸塩0.5 mg/Kgを腹腔内投与し、投与後15分間継続的にマイクロピペットを用いて唾液を採取した。マウス体重1gあたりの唾液量を計算した。老齢マウスでは体重や顎下腺組織の重さが増加し、刺激時唾液量は若齢マウスと比較して老齢マウスで減少した。
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