研究課題/領域番号 |
18K09931
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研究機関 | 九州女子大学 |
研究代表者 |
濱嵜 朋子 九州女子大学, 家政学部, 教授 (60316156)
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研究分担者 |
萩原 明人 九州大学, 医学研究院, 教授 (50291521) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯科医療コミュニケーション / 高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究では、高齢者の歯科医療におけるコミュニケーションに着目し、「より良い高齢者との歯科医療コミュニケーションの要因とは何か」を明らかにすることを目的とする。令和2年度には、前年度に高齢患者の説明に対する満足(説明満足度)に関連する要因を明らかにすることを目的として実施したWebアンケート調査の結果も参考として、質問紙を完成させた。調査結果からは、1 歯科医師の説明に満足している高齢患者は、64歳以下に比べて有意に高いこと。2 高齢者で、説明満足度と有意な関連がみられた因子は、「かかりつけ歯科医の有無」「通院形態」「通院期間」「歯科医師の説明への理解度」「歯科医師の印象」「主観的健康感」「治療の決定方法」「歯の本数」および「生活習慣病の知識」であること。が明らかとなった。説明満足度には通院状況や理解度のみならず、高齢者の健康状態や生活習慣病の知識が影響している可能性が示唆された。高齢者のコミュニケーションという観点から、医療コミュニケーション、患者コンプライアンス、患者満足度、受療行動および医事紛争に関する研究を中心に、医学領域以外も対象にして、文献をレヴューし知見を整理しながら、高齢者の身体的・精神的因子も含めた自記式質問票(案)を完成させ、質問票(案)の問題点を洗い出し、最終版の確定作業を研究分担者の萩原と共同で行った。 今年度は、調査に参加する複数の歯科医療機関を確定する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大により福岡県に緊急事態宣言が発令された。そのため、8月から本格的な調査依頼を開始し、数カ所の歯科医療機関の協力が得られ調査を実施した。その後、新型コロナウイルス感染症の再拡大により12月まで中断せざるを得ず、3月から調査を再開したところである。このように、令和3年度中の歯科医院での調査実施は数が限られ、本年度中に、調査は完了していない状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症拡大のため、福岡県に緊急事態宣言が断続的に発令された。そのため、調査対象とする歯科医院への依頼が困難な状況であり、研究が遅れている理由となっている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は、質問紙を完成させ8月から調査を開始した。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の再拡大により、12月まで中断せざるを得なかった。その後は調査を再開し、本年度4月にかけて数カ所の歯科医院に継続して依頼している状況である。本研究では、全体で約20施設程度確保する予定にしている。そのため、本年度前半では、調査を依頼する歯科医院を引き続き選定し、決定する予定にしている。承諾を得た歯科医院において、調査の実施を現場で指揮する予定にしている。 今年度後半には、データ入力を行い、患者を中心に歯科医師と歯科衛生士のデータを連結したデータベースを構築する。歯科医療者と 患者の認識、および両者の認識のズレを明らかにし、認識のズレが患者の満足度、コンプライアンス、治療効果、受療行動に及ぼす影響を定量的に評価する。また、患者に係わる認知機能をはじめとした因子についても明らかにする。研究結果については、学会および論文での発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は、歯科医院での調査完了までには至らず、令和4年度までずれ込んだため、当初の計画よりも遅れている現状である。本年度前半では、引き続き調査を依頼する歯科医院を選定し、調査を実施する予定である。その後、データ入力を行い、患者を中心に歯科医師と歯科衛生士のデータを連結したデータベースを構築する。そのため、研究費用として、調査費、データ入力および集計費、成果発表にかかる費用として使用する計画にしている。
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