研究課題/領域番号 |
18K09932
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
埴岡 隆 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (00144501)
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研究分担者 |
谷口 奈央 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (60372885)
小島 美樹 梅花女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20263303)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 加熱式タバコ / 口腔組織 / 微小循環 / 健康意識 / 歯科患者 / 歯科医師 / 歯科衛生士 / 新型タバコ |
研究実績の概要 |
欧米諸国では新出の水パイプタバコや電子タバコの大流行で、禁煙意欲の低下や若年者の喫煙開始によるタバコ対策の減速が懸念されている。本研究では、日本で大流行の兆しがある加熱式タバコへの歯科医療従事者の意識・実態(研究1)および微小循環機能の面からの歯科領域の健康影響(研究2)を明らかにして、わが国のタバコ対策の加速に資することを目的とする。研究1の意識・実態調査は、調査方式を郵送からウェブ方式に変更し、調査項目を選定するために欧米の新出タバコに関する先行研究の文献調査を実施している。最近、第2版が出版されたWHOの水パイプタバコの健康影響報告書には歯周病が含まれたほか、口腔インプラントや口腔カンジダ症との関係が示唆されていた。電子タバコの歯科領域の健康影響の研究では、口腔インプラント、口腔カンジダ症、歯のチッピングや破折への影響が示された。こうした健康影響の知識に加えて、タバコ産業が主唱している害の低減に対する有害性への医療従事者の認識と対応に関して国によるギャップが認められた。研究2については、購入予定だった装置の測定原理がより明確になり、新出のタバコの歯科領域の健康影響がこれまでと異なる原理が起こる可能性が高くなったことから、測定装置の改良を前倒しで検討し、歯肉に加えて口蓋および頬粘膜、そして、舌を測定対象にできるプローブを装備する装置を特別注文した。研究計画を策定し福岡学園倫理審査委員会に提出し研究計画の承認を受け、対象施設・被験者(成人)を選定する。唾液コチニン検査を加えてタバコ使用状況を客観的に評価できるようにした。研究者との意見交換では、加熱式タバコ使用前後の変化を調べるために健康増進法の受動喫煙防止の例外規定が適用できることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前倒し請求により口腔の様々な部位の微小循環の測定が可能になるオプションのプローブを考案し、高機能の装置を購入することができた。加熱式タバコへの意識および実態調査については、高機能の装置購入費用で割高になった研究費を郵送調査からウェブ調査に切り替えて節約し対応することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究1の歯科患者および歯科医療従事者の意識及び実態調査については、質問紙による郵送調査からウェブ調査に切り替える。ウェブ調査は、WHOの簡易介入のトレーニングプログラムを日本向けに改良したe-learningの中に組み込んで実施する。研究2の加熱式タバコの歯科領域の健康影響については、測定範囲を拡大し、歯肉・口腔粘膜(口蓋および頬)・舌の微小循環への影響について、加熱式タバコ使用の有無および燃焼式タバコの併用による比較を行う。タバコ使用の化学的検証のために唾液コチニン検査法を採用する。加熱式タバコ使用前後の比較は、健康増進法による受動喫煙防止規定のため通常は実施できないため研究計画には含めなかった。その後、研究者の意見交換で、法には研究のための例外規定があることが判明し、使用前後の変化について研究計画に含めることが可能となったため研究計画を倫理審査委員会に提出し研究承認が得られた後、実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた質問紙による郵送調査をウェブ調査に切り替えたために、旅費およびその他の支出が節約できたことによる。研究の進捗状況は概ね良好である。次年度使用額の大部分はウェブ調査に関わる費用に充当する。
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