研究実績の概要 |
令和2年度は、令和1年度までに構築した分析用データベースを用いて解析を進めた。病棟単位の診療密度、ケア必要度、人員配置等と、総医療費と平均在院数を用いて計測した病棟ごとの重症度の代理変数である複雑性指数(Case Mix Index, CMI)を主要な変数として、地域要因、疾病構成、診療科等で層化して、診療アクティビティの日々の変動の解析手法の開発を進めた。 診療部門単位のアウトカムの評価手法については、死亡率、術後在院日数、診療データより推定される術後合併症の発生率、再入院率等を候補として検討を進めた。さらにこれらの評価値とアウトカムとの関連性を多変量解析等によって解析をすすめ、アウトカムに関連する要因を明らかとした。診療密度等の平均値に加えて、peak値や一定の日時、患者等への偏りなどが影響する可能性が示された。これらの結果は、診療負荷や患者症度の平準化が医療のアウトカムの改善に寄与する可能性を示した。 日時レベルの診療活動の多様性の解析は、診療密度の変化の多様性が非常に大きかったため、包括的な分析は困難であり、比較的短期入院が多く均一性が比較的高い病棟の分析に有効と考えられた。病棟の診療機能類型毎に集計し、分布とその偏りの代理変数としてのGini係数等による評価を行った。診療密度は手術、処置等の診療行為の変動とCMIの相違による患者間のばらつき等が関連する可能性が示された。ケア必要度は年齢、併存症と患者状態の多様性に起因するばらつきの可能性が示された。
|