研究課題
2021年度においては,新型コロナウィルスの感染拡大により対象地域での調査が困難であったため,生活支援体制整備事業の「通いの場」に着目しコロナ禍の中においても断続的でありながら運用したことの有用性を検証した.対象は,徳島県 A市(人口73,431人)に在住し,月1回以上通いの場を利用する65歳以上の高齢者136名とした.調査時におけるA市の通いの場は,全部で137か所で,うち14か所から対象者を抽出した.方法:自記式アンケートにより,性別などの個人属性と基本チェックリスト(KCL)を用いて高齢者の心身機能とフレイルを評価した.baseline時の記録期間は2019年 9月25日 から同年11月24日,1年後の記録期間は2020年10月15日から同年11月13日までとした.結果:欠損値などを調整した結果,分析対象は101名であった.baselineの性別に関しては,女性85名,男16名,年齢は,65-74歳が37名,75歳以上が64名であった.参加頻度は,baseline時に毎日が2名,週1回が64名,月1回が35名で,1年後では毎日が3名,週1回が68名,月1回が29名,年1回が1名であり,記録時期と参加頻度との間には有意な関連が認められ,1年後における参加頻度は増加の傾向がみられた.KCLの各領域とbaselineから1年後にかけての変化との間には有意な関連が認められた. KCLの7つの領域いずれにおいても変化なしの割合が最も高く,低栄養状態では100%が変化なしであった..運動器の機能では他の領域と比較して悪化の割合が有意に高く,逆に低栄養状態では有意に低かった.フレイル率は,有意な変化はなく,単純集計上23.8%から19.8%に減少していた.結論:通いの場は,コロナ禍においても高齢者の運動器の機能を除く心身機能の低下を抑止し,フレイル化を防止した可能性が示唆された.
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International Journal of Environmental Research and Public Health
巻: 18 ページ: 9502~9502
10.3390/ijerph18189502
徳島県地域包括ケアシステム学会特別冊子
巻: 1 ページ: 7-8
https://www.toccs.jp/