研究課題/領域番号 |
18K09944
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松尾 龍 九州大学, 医学研究院, 助教 (60744589)
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研究分担者 |
福田 治久 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30572119)
北園 孝成 九州大学, 医学研究院, 教授 (70284487)
鴨打 正浩 九州大学, 医学研究院, 教授 (80346783)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | コホート / 血栓回収療法 |
研究実績の概要 |
高齢化と医療費の増大が進行するわが国においては、健康寿命の延伸と医療費の適正化のための費用対効果による医療技術の評価が求められている。本研究の目的は、多施設共同前向き急性期脳卒中コホート研究のデータベース、福岡脳卒中データベース研究を用いて、脳梗塞患者における超急性期血栓回収療法の費用対効果を明らかにし、脳卒中急性期診療の有用性について新たな知見を得ることである。今年度は、福岡脳卒中データベースを用いて、患者登録とデータ収集を行った。2007年6月の登録開始以来、2019年3月末までに同意を取得した患者総数は16,493名、データ入力を完了した患者総数は16,149名となった。同意取得率は89%、追跡率は89%と高い水準にある。血栓回収療法の症例数は年々増加しており、まず血栓回収療法の現状を同データベースを用いて明らかにした。発症24時間以内の来院患者の血栓回収療法は、2011年が0%であったのに対し、2016年には8.2%となった。その増加の要因として、来院から治療開始時間の短縮がみられており、来院後の医療システムが年々整備されていることが考えられた。また、さらに血栓回収療法の登場により転帰が改善していると考えられたため、経年変化における超急性期再開通療法の効果をみたところ、死亡そのものは減少していたが、必ずしも再灌流療法に起因するとはいえない結果であった。再灌流療法における適応は年々拡大しており、治療対象者の背景も大きく異なっていることから、再灌流療法における予後要因を専門家とともに再検討を行い、再灌流療法のデータベースをあらためて構築し、現在、整備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
福岡脳卒中データベース研究におけるデータは、年間1300人もの急性期脳卒中患者が同意説明のうえ、登録されている。また共同研究機関においてデータの入力およびクリーニングはCRCにより併行して行われている。電話による予後調査は訓練された看護師が行い、現在追跡率は89%である。血栓回収療法を施行された患者の予後について検討する際に、発症からの来意方法、治療開始時間等予後に影響を与える要因が専門家との検討で明らかになったため、データのクリーニングとともに必要な情報の収集もあわせて行い、データベースの再構築を行っている。本年度の計画はデータの収集であるが、追加情報の収集もおこなっており、順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、血栓回収療法におけるデータの再収集とデータベースの再構築を行っている。今後は、予後調査によるQOLの測定、ならびにDPCデータとの収集と突合による費用面での検討が必要となる。QOLおよびDPCデータを収集するシステムのはずでに整備されていることから、予後とDPCデータを含むデータベースの再構築を行う。その上で解析を実施する予定である。
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