研究課題
超高齢社会において高齢者に多い脳卒中はその患者数が増加している。死亡の原因としては第4位であるが、要介護となる原因としては第2位であり、健康寿命延伸の阻害要因となっている。そのため、脳卒中は発症予防につとめるとともに、発症後の後遺症軽減が必要である。近年、脳卒中医療は急速に進歩し、超急性期再灌流療法である血栓除去術は、急性期脳卒中を発症した患者の機能予後を大いに改善させることが明らかにされている。一方で、高齢化と医療費の増大がますます進行するわが国においては、健康寿命の延伸と医療費適正化のための費用対効果による医療技術の評価が求められる。本邦における血栓除去術の費用対効果は未だ明らかではない。本研究では、福岡県下の7つの脳卒中専門病院による多施設共同前向きコホート研究、福岡脳卒中データベース研究を用いて、本邦における超急性期血栓除去術の費用対効果を明らかにする。今年度は、昨年度に引き続き、登録患者17074名のうち、血栓溶解療法施行1422名、血栓除去術施行573名のデータを固定し、スクリーニングを行った。さらに臨床現場の専門医との意見交換を行い、各医療機関にて血栓溶解療法や血管内治療に関する適切なデータ指標を追加収集が必要となり、その選定に議論を重ね、データの再収集に取り組んだ。またモデルの妥当性については、血管内治療の専門医だけでなく、医療経済学、疫学の専門家とミーティングを行い、デザインの妥当性について十分に議論したうえで、データ分析を開始している。
2: おおむね順調に進展している
データの再収集の選択と過程に時間を要しているが、解析は併行して行い、全体としての経過はおおむね進んでいる。
データの再収集後の再解析を十分に行い、様々な専門家の批判的吟味による検証が必要である。学術総会参加とその場の発表とともに広く意見を聴取したいと考えている。
学術総会参加とその後の専門家との意見交換ができなかった。結果の解釈にはさまざまなな専門家の意見聴取を踏まえた議論が必要であり、次年度に推進して行う予定である。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 7件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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