研究課題/領域番号 |
18K09947
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
辻野 彰 長崎大学, 病院(医学系), 教授 (70423639)
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研究分担者 |
松本 武浩 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (20372237)
前田 隆浩 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40284674)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 遠隔医療 / パーキンソン病 / スマートグラス |
研究実績の概要 |
【目的】パーキンソン病において、専門医による介入が病院のQuality Indicatorの遵守率を高め、症状悪化による入院、介護施設入所、股関節の骨折、死亡のリスクを低下させることが知られているが、モニターを介した専門医によるビデオカンファレンス方式のD to Pの遠隔在宅診療の1年間ランダム化比較試験の結果では、生活の質や治療効果および介護者の負担に差は認められなかった。原因として患者側の不満として画面越しの診察であることに対する不安、医師側の不満として画質や視野が十分でないことが考えられている。これらの問題を解決するため、現地の医師がリアルタイムで専門医と相談しながら診療を行い、専門医による対面診療と同様の予後の改善を試みた。【方法】五島中央病院でパーキンソン病の診断で通院中の五島在住の患者を対象とする。同意取得後の6カ月間をコントロール期間として現地の担当医師(非専門医)が通常診療を行う。その後に引き続いて、現地の担当医師がカメラ付きスマートグラスを通じてリアルタイムで大学の専門医のアドバイスを受けながら診療する遠隔診療専門外来を6カ月間実施する。主要評価項目としてPD統一スケール改訂版(MDS-UPDRS)、副次評価項目としてオフ状態の時間、ジスキネジアの有無、PD特異的QOL尺度質問票(PDQ-39)、臨床的全般印象度の変化(CGI-C)、認知機能(MoCA)、レボドパ換算総薬物投与量、入院回数、併存合併症(骨折、イレウス、嚥下性肺炎)、慢性疾患患者ケアシステム評価(PACIC)を設定し、それぞれコントロール期間、バーチャル診療期間の前後で比較することにより本診療法の有用性を検討する。【結果】現在研究進行中であるが、一部の症例(4例)では、MDS-UPDRSの維持あるいは改善が見られている。【結論】現時点でスマートグラスを用いた遠隔診療は有用と考えられる。今後も継続して症例数を増加させ、最終的な統計学的解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在研究進行中であるが、一部の症例では、MDS-UPDRSの維持あるいは改善が見られている。現時点でスマートグラスを用いた遠隔診療は有用と考えられる。今後も継続して症例数を増加させ、最終的な統計学的解析を行う。現在までの結果を第61回日本神経学会学術大会(岡山)で発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、現行の遠隔診療支援システムを継続して患者登録を増やしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予想より登録患者数が伸び悩んでいるため残余が生じた。その対策として患者のモニタリングを充実させる必要が出てきたため、ウェブカムやPCなど追加して診療システムをバージョンアップの費用をその他の継続費用とともに来年度に残した。
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