研究課題
【目的】スマートグラスを利用したD to Dの遠隔専門医療支援の有用性を検討した。【方法】既にパーキンソン病と診断がついている五島在住の患者のうち、本研究への参加に同意された者を対象とした。全期間を1年間とし、1ヶ月に1度の外来受診を行った。前半の6ヶ月間は非専門医が通常の診療を行った。後半の6ヶ月間は非専門医がスマートグラスを装着して専門医と接続し、D to D to P形式で診療・評価を行った。MDS-UPDRSを主要評価項目とし、有効性の検討を行った。【結果】現時点までに9例の患者が登録されたが、そのうち4例は、骨折(2例)や感染症(2例)のために入院となり外来を受診できず、早期に離脱した。そこで、離脱例や解析継続中の症例を除く、スマートグラスを用いた後半の診療まで行えた4例について、検討を行った。非専門医による診察終了時と遠隔専門外来終了時のMDS-UPDRSは、1名が改善(31点→20点)、1名が増悪(87点→105点)、2名がほぼ横ばいであり、全体としては有意差がなかった(MDS-UPDRS平均65点→67.5点)。終了後の調査では患者からは2人の医師の合議による安心感、非専門医からは専門医の思考の学習が利点として挙げられた。【考察】今回の方法での遠隔診療の優位性は示せていないが、少なくとも対面と比較して大きく差があるものではなかった。参加者の満足度は概ね高く、遠隔診療に対する忌避感の訴えはなかった。参加した非専門医による診察や評価は、回数を重ねるごとに素早く、専門医の評価との一致もスムーズとなるなど、教育効果が見られた。以上の結果をもとに令和2年度 地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証(総務省)として「専門医の遠隔サポートによる離島等の基幹病院の医師の専門外来等の実現 」の臨床試験を実施した。
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