研究課題/領域番号 |
18K09948
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
荒木 賢二 宮崎大学, 医学部, 教授 (70274777)
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研究分担者 |
小川 泰右 宮崎大学, 医学部, 助教 (60586600)
松尾 亮輔 宮崎大学, 医学部, 研究員 (30815931)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 医療経営分析 / 診療概念辞書 / プロセス記録 / 人工知能技術 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,属人的になりがちな経営分析ノウハウを,分析目的に適した説明変数を見つけ出す知識発見プロセスと捉え,説明変数にプロセス情報(説明変数となる概念の発見過程や,その経営分析での利用過程)をあわせて記録することで,経営分析ノウハウを蓄積できる概念辞書の構築方法を探求することである.ビッグデータを対象とすることから,説明変数の候補を低コストで,網羅的に得るために人工知能技術の応用が欠かせないが,その方法は確立されていないのが現状である.本年度は,人工知能技術を用いて概念辞書を構築していくための基盤としての臨床研究情報処理フレームワークを検討した.医療情報は,数値・文字列・コードなど様々な形で表現されており,分析の目的に適した形に変換することが,分析の効率化に重要である.例えば,手術術式のKコードは部位ごとに構造化され広く普及しているが,粒度が細かすぎる恐れがあることや,分析目的によっては部位以外の視点での構造化が有効なことがあると考えられる.診療データの粒度を調整する処理が予測に重要であるとされているが,分析に適切な粒度だけでなく,調整に失敗した結果も試行錯誤のプロセスとして蓄積できれば,前処理のノウハウが医療情報の二次利用に活用できる.また,前処理から分析までの一連のプロセスを方法論化できれば,過去の医療情報リアルワールドデータを用いた後向き分析の効率化が期待される.本フレームワークは,データ前処理と分析の2つのフェーズで構成され, 2フェーズのサイクルにより,分析を実行することで得られる前処理後の説明変数の特徴重要度を,前処理の良し悪しの結果および目的変数(KPI・エンドポイント)への評価として蓄積できるものである.本年度では上述のフレームワークを用いて管理料算定患者の予測を事例に説明変数の粒度調整が有効であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概念辞書を構築していくための基盤(上述の臨床研究情報処理フレームワーク)における必要な前処理や分析および人工知能技術の活用方法を検討し,具体的な前処理(粒度調整)の有効性を管理料算定患者の予測において確認できたため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,上述のフレームワークをもとに,前処理と分析フェーズにおける人工知能技術の活用方法を確立・実現する.また,経営分析のノウハウを蓄積可能な概念辞書の構築に向けた検討を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成31年度に使用予定であった旅費を国際会議The 13th International Conference on Knowledge, Information and Creativity Support Systems (KICSS2018)の口頭発表の旅費の支払いのため,前倒し支払い請求をさせていただいたが,残りの次年度使用額は論文投稿に係る費用とさせていただく予定である.
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