研究課題/領域番号 |
18K09951
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研究機関 | 群馬県立県民健康科学大学 |
研究代表者 |
寺下 貴美 群馬県立県民健康科学大学, 診療放射線学部, 講師 (30506241)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 深層学習 / 医用画像読影 / ROC解析 / 視線追跡システム |
研究実績の概要 |
本研究は高度な医療技術をより効果的で効率的に習得する指導法の確立を目的に、人間工学に基づいた高度医療技術のプロセスの解明、またそれを利用した指導法の開発を行うものである。また近年発展の目覚ましいAI技術を積極的に導入する。 本年度は、昨年度作成した深層学習を用いた視線解析法を組み込んだ医用画像読影中の視線行動を取得するシステムを用いて、学生4名、診療放射線技師3名のデータ収集を行った。なお本研究の実験計画は本学の倫理委員会の審査を受け、承認された。 結果において、読影時間は学生が短く、診療放射線技師は長い傾向にあった。ROC解析では診療放射線技師の方が曲線下部面積は大きかった。これらは先行研究と同様の結果であった。視線情報を使用した評価指標では、注視時間は診療放射線技師の方が長く、注視回数も多かった。学生は病変画像で位置を間違えた「localization error」が多く、視線情報を考慮した正診率は、診療放射線技師の方が良かった。また偽陰性の内訳では、学生は「scanning error」が多いのに対して、診療放射線技師では「decision-making error」が多かった。これは病変を確実に認識し、病変かどうかを迷っている行動であり、診療放射線技師が丁寧に読影を行っていることを示している。一方、学生はそもそも病変を認識できておらず、病変探索行動も一定していないと言える。学生への指導として、正確な読影手技の伝達が必要であり、併せて病変の形態的な特徴や好発部位などの伝達が必要であろう。 しかし、結果を統計的に評価するためにはサンプル数が足りない。さらにデータを増やすために、診療放射線技師のデータ収集として、本学の臨床実習で連携している医療施設と調整中である。また本学以外の診療放射線技師養成校においてのデータ収集も計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の年次計画ではプロセスに基づいた読影教育システムの開発と教育プログラムの作成であった。また昨年度からの課題であった複数名のデータ収集については実施できた。 読影教育システムについては学生に対してどのようなことをフィードバックするかは複数名のデータ収集がまだ不十分であるため、決定するのが困難であった。そのためシステム化にはまだ至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、更なるデータ収集、および教育プログラムの作成と学生実習への実践を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度の成果をまとめた論文を執筆中であるが、想定していた雑誌でリジェクトされたため、修正を加えて、再投稿の準備中である。そのため、論文掲載料として見込んでいた金額である。来年度の掲載を目指す。
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