研究課題/領域番号 |
18K09956
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研究機関 | 駒沢女子大学 |
研究代表者 |
杵淵 恵美子 駒沢女子大学, 看護学部, 教授 (60245389)
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研究分担者 |
水野 真希 駒沢女子大学, 看護学部, 准教授 (60547181)
吉田 安子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (40285010)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 人工妊娠中絶 / アンチスティグマ |
研究実績の概要 |
本研究では、妊娠中絶(以下TOP:Termination of Pregnancy)のケア改善およびケアに携わる看護職者の支援のため、TOPに対する否定的な心理(スティグマ)を測定する尺度を開発し、スティグマを軽減する(アンチスティグマ)ための利用について検討する。平成30年度は、TOPに関するスティグマの枠組みを構築するための作業を行った。 まず、文献から、スティグマ一般に関する研究成果を確認した。精神障害者やAIDS患者に関連するスティグマについては、社会問題の一つとされ、様々な研究が行われており、その研究成果を利用したスティグマ軽減のための活動が行われていた。しかし、妊娠/出産に関連するスティグマとして、「不妊」については注目されているものの、TOPについては参考となる枠組みが不十分であった。また、スティグマは社会一般の人が持つパブリックスティグマと、本人が抱くセルフスティグマに分けられることから、TOPに関しては、パブリックスティグマを対象として検討することがまず必要であると考えられた。 海外では、TOPを対象としたスティグマ尺度であるSABAS(Stigmatizing attitude,beliefs and actions scale)が開発されていた。この尺度は、個人及びコミュニティの妊娠中絶に対するスティグマを測定するために開発されたツールであり、「否定的な固定観念」「排除及び差別」「悪影響に対する恐怖」の3要因から構成されていた。SABASを参考に、日本人女性を対象としたスティグマ尺度の作成のための枠組みを構築することが可能ではないかと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度に研究機関を移動したことから、研究環境の整備に時間を要したためである。特に、研究を開始するための倫理審査体制等がこれまでの研究機関とは異なっていたため、体制を整え、手続きを進めていくための準備に時間を要し、当初予定していたプレ調査の準備・実施まで進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後速やかにプレ調査を実施し、SABASを参考に日本人女性のTOPに対するスティグマの概念を導きだし、スティグマ尺度作成のための質問項目の構成を行う。まず、看護職者および一般女性に対し、個別に半構造化面接を実施する。得られたデータを質的方法で分析し、TOPに対するスティグマの概念を整理する。その結果から、TOPに関するスティグマを測定する質問項目の構成と尺度化(暫定版)を行う。次年度以降は作成した暫定版スティグマ尺度を使用したパイロット調査を行い、本調査に向けた尺度の精製を進める。本調査においては尺度の信頼性と妥当性を検証し、利用法について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究機関の移動により、研究環境整備に時間を要したため計画に遅れが生じた。研究計画の遅れにより当初予定していたプレ調査の実施が困難になったため、調査費用として計上していた費用が次年度使用額として残った。次年度、調査を実施するために使用する予定である。
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