研究課題/領域番号 |
18K09957
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
村木 優一 京都薬科大学, 臨床薬剤疫学分野, 教授 (50571452)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 使用動向 / サーベイランス / 適正使用 / 保険請求情報 / リアルワールドデータ / 電子カルテ情報 |
研究実績の概要 |
医薬品適正使用の評価に対して、様々な情報源に基づく医薬品の使用状況が十分活用できていない。なぜなら、医薬品の使用状況を把握するには、製品名、規格、剤形などの違いに対して成分や系統毎に力価や日数で得る必要があり、対象期間、対象地域や診療科といった様々な目的に応じて膨大且つ煩雑な計算を必要とするからである。そこで、本研究では「医薬品適正使用の見える化」を目指すことを目的とした。 以前より行っている抗微生物薬に加え、新たに糖尿病薬、循環器用薬、抗悪性腫瘍剤、麻薬製剤、眼科用剤を対象として調査した結果、抗微生物薬(内服1,727剤、注射薬812剤)、糖尿病薬(1,680剤)、循環器用薬(10,056剤)、抗悪性腫瘍剤(979剤)、麻薬製剤(846剤)、眼科用剤(916剤)が該当することが明らかとなった。また、これらの対象に対してマスターを概ね作成した。現在、作成したマスターのダブルチェックを行っている。さらに、医薬品の使用状況を簡便に集計するためのプログラムの開発に着手し、2020年度前期の完成を目指している。 麻薬製剤に関する保険請求情報を入手し、2013年から2018年までのオピオイド使用患者の処方状況を明らかにした(2020年度学会発表予定)。現在、入手可能な医療データベースを用いて、他の対象医薬品についても順次作成したプログラムを用いて検証を行っている。なお、開発したプログラムについてはホームページ等を通じて公開する予定である。医薬品の使用状況を様々な視点で明らかにする本研究は、地域や他国間の比較を可能とし、医療政策や国民に対して有益な情報を提供できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病、循環器用薬、抗悪性腫瘍剤、麻薬製剤を対象としたマスターは概ね作成した。一部の薬剤については、WHOに登録されていない医薬品や維持投与量(DDD)が定義されていないため、調整を行っている。現在、自動集計プログラムの開発計画は進めており、2020年度前期の完成を目指している。 一方、本プログラムで算出される値はナショナルデータとして利用するものであるため、正確性の確保は必須であり、慎重な確認作業が必要となる。しかしながら、人的資源が不足し、新型コロナウイルス感染症の影響により研究活動を中断する必要もあり、さらに時間を要している。 また、データ元としてナショナルデータベースの申請を考えていたが、申請から入手まで時間がかかるため、対応策として販売量や保険請求情報データベース、NDBのオープンデータなどを入手して行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
2年目については、人的資源を一時的にではあるものの確保できたため、概ねマスターは作成できた。一方、マスターのデータのダブルチェックがまだであるため、今後も人的資源の確保に努める。新型コロナウイルス感染症の影響により、事務的な手続きが遅れているが、適宜、メールやWeb会議などを通じて連絡等は密にして進捗を確認しながら進めることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、本年度にアプリケーションの開発費用にあてるはずであったが、新型コロナウイルス感染症の影響により手続きに時間がかかっている。次年度早々に事務的手続きを行い、予算を執行する予定である。また、次年度助成金については、統計解析の年間ライセンス費や校正費、投稿費、学会費などにあてる予定である。
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