研究課題/領域番号 |
18K09959
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
二瓶 俊一 産業医科大学, 大学病院, 講師 (40441828)
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研究分担者 |
和田 耕治 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (30453517)
盛武 敬 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 准教授 (50450432)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 水晶体被ばく / 水晶体線量計 / 蛍光ガラス線量計 / CT介助者 / 手指被ばく |
研究実績の概要 |
国際放射線防護委員会(ICRP)が白内障のしきい値を0.5Gyへと大幅に引き下げる声明(ソウル声明,2011年)を出したのを受け、我が国でも放射線業務従事者の水晶体被ばく線量管理が喫緊の課題になっている。 国内で販売されている水晶体線量計は、TLD素子を用いていることから線量検出感度が低いため積算線量[/1ヶ月]が測定されている。しかしながら、我々が目指すCT介助者の作業毎[/1検査]に測定が行なえる水晶体線量計は販売されておりません。そこでCT介助者の水晶体等価線量を測定するために、放射線防護眼鏡に簡単に着脱できる水晶体線量計を国内に広く普及している蛍光ガラス線量計(GD-352M)を用いて開発を行った。さらに、CT介助時には手指被ばくがあることも想定されるため、CT介助者の手指被ばく線量測定のために蛍光ガラス線量計(GD-302M)を用いて専用手袋の開発を行なった。 開発した水晶体線量計および手指線量計を用いてCT介助者被ばく(水晶体被ばく、手指被ばく)の実態調査を行った。調査方法は、CT介助を行なった医療スタッフに開発した線量計を用いて水晶体等価線量と手指表面入射線量の測定を91例のCT介助者に対して行なった。それに伴い、CT介助時の記録を行った[項目:撮影日、職種、介助位置、介助方法、CT撮影方法(管電圧、管電流、撮影時間、撮影距離)や線量指標(CTDI、DLP)]。 今後はCT介助者の被ばく線量低減の対策を行うために、CT介助者の被ばく線量や介助記録についてデータ解析を行ない、病院内の産業医を軸とした放射線被ばく管理サポートチームにてCT介助者被ばくの原因と対策を協議する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
蛍光ガラス線量計を使用した水晶体線量計、手指線量計の開発を行なった。この水晶体線量計は蛍光ガラス線量計の特徴を生かし1検査(1手技)毎のCT介助者の実態調査を行うことを可能とした。また、CT介助者被ばくのカテゴリーの明確化や多方面の医療スタッフの介入を行うために必要な情報(照射線量、介助位置、介助方法)の情報収集を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はCT介助者の実態調査から得られた線量データやCT介助時の情報(照射線量、介助位置、介助方法)を元に、CT介助者の被ばく線量や介助記録についてデータ解析を行ない、介助位置や介助方法が被ばく線量に与える影響をカテゴリーの明確化や病院内の産業医を軸とした放射線被ばく管理サポートチームにてCT介助者被ばくの原因と放射線防護対策を協議する。
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次年度使用額が生じた理由 |
放射線業務従事者の介助時の被ばく線量に関する研究を行っている研究者は極めて限られるため、 初年度は主に調査・情報収集および学外研究者との情報交換の目的で、国内および国外にのべ数回出張する予定であったが、国内で開催された学会にて多くの情報収集を行うことできたため、国外の学会参加を行わなかったために当該助成金が発生した。 水晶体線量計や手指被ばく線量計の開発を続ける費用に当てる。開発した線量計はプロトタイプであり完成には解決しなければならない問題があるが、分担研究者や臨床現場の意見を参考に開発を続けて行く費用に使用する。
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