研究課題/領域番号 |
18K09960
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研究機関 | 保健医療経営大学 |
研究代表者 |
川島 秀樹 保健医療経営大学, 保健医療経営学部, 教授(移行) (90516931)
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研究分担者 |
林 勝裕 保健医療経営大学, 保健医療経営学部, 教授(移行) (10516983) [辞退]
永石 尚也 山形大学, 大学院基盤教育機構, 講師 (20782923) [辞退]
後藤 浩士 日本経済大学, 未登録, 兼任講師 (20808852)
白木 秀典 保健医療経営大学, 保健医療経営学部, 教授(移行) (10614373)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 赤字公立病院 / 経済効果 / 病院事業決算状況 / 病院経営比較表 / 地域産業連関表 / 地域経済分析システム |
研究実績の概要 |
令和3年度は、赤字公立病院の経済効果を調べた。公立病院の存続可否に関し,人口規模が比較的類似している四病院の経済効果を算出し,比較検討を行った。その結果,公立八女総合病院と山鹿医療センターの経済波及効果は総収益の約1.5 倍となり,特に公立八女総合病院は80億円の総収益で県内121.71 億円の波及効果があり,生産活動によって必要となる就業者数と就業者誘発数は,医療・福祉で878 人になった。 また,兵庫県の北播磨総合医療センターを成功事例として考察し,集約・統合などによる「高付加価値型」経営が,現在の公立病院経営を改善するための有効な方策であることも明らかにすることができた。 本研究では北播磨総合医療センターの事例から公立・公的病院の統合・再編に賛成するが,各病院のポジションを考え,地域住民の居住可能地域の確保や地域の雇用創出をもたらしていることの重要性を主張した。公立病院の赤字の原因として,長期的には市の過疎化による1 日当たりの入院患者数と外来患者数が減少していることが理由としてあげられ る。また,診療報酬改定や医師数の減少により高度医療が行われていないことも原因である。さらに公立病院は医業外収益に記される補助金により,赤字及び黒字に多大の影響を及ぼしている。赤字には多くの要因が入っており,一つに特定できない。 統合成功事例の病院では患者数を増やすことだけではなく,医師の数を増やし,高度医療をすることで魅力的な病院にすることができ,総収 益をあげることができた。こういった「高付加価値型」の成功事例が,現在の公立病院の経営の「お金を投入し続ける」残された方向性であり,それは地域でのポジションによると思われる。最近の「技術的水準」の分析から,積極投資,維持,統合縮小など,パターン化した方向性を導くと良いと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
病院の評判分析が終わり、赤字公立病院の経済効果について研究することができた。 コロナ以後、公立病院に対する評価が大幅に変わりつつある。科研費の論文をまとめて、新年度には本を出版する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
「公立病院改革と医療政策」というタイトルで本を出版する予定である。また、共著者に4章「中小自治体病院のガバナンスとマネジメント」を記述してもらうことにしている。第1章 地域医療圏における自治体病院の役割 ― 病院統合・再編に関するアンケート ― 第2章 テキストマイニングを使った病院の評判分析 ― KH Coder を利用して ― 1.評判とは 2.テキストマイニング(KH Coder)とは 3.結語:まとめと今後の課題 第3章 地域における赤字公立病院の経済効果 1.総務省病院事業決算状況 2.地域産業連関表による経済効果とRESAS 3.公立病院統合の結果 -成功事例の分析- 4.四病院の医療技術水準について 5.考察 6.結語:まとめと今後の課題 第4章 中小自治体病院のガバナンスとマネジメント 1.銚子市立病院の休止からリコールまで 2.再開の道筋 3.ガバナンスの欠如 4.未熟な病院マネジメント能力 5.市民の保健医療の課題 6.地域の医療機関との連携を考えた市立病院の課題 7.銚子市立病院の沿革と島田総合病院 8.結語:再検証病院の対象となって
また、日本計画行政学会において、「マルチエージェントモデルによる自治体病院統合可否の再検討」という論題で発表し、論文を作成する。八女筑後医療圏の2つの自治体病院の利得表をアンケートより作成し、マルチエージェントモデルのシミュレーションにより、病院の統合可否をゲーム理論で再検討する。
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