研究課題/領域番号 |
18K09963
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
浅井 篤 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80283612)
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研究分担者 |
尾藤 誠司 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 室長 (60373437)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 医療倫理 / 代理意思決定 / 質問票調査 / 大学病院 / 神経内科 / 質的研究 / インタビュー調査 / WEB調査 |
研究実績の概要 |
主に3つの大きな成果があった。第一に本邦の医療現場で行われている代理意思決定の背景、実態、代理意思決断前後の心理状態について現状を把握し、今後の代理意思決定における課題や対策を探索することを目的に、半構造化面接による探索的個人インタビューを15名の一般人に対して行った。その結果を『うえの式質的分析法』を用いて質的な分析を実施した。インタビューで得られたデータを逐語録にしたのち、以下の手順で分析を行った。生データの文章は全て分析の対象とし、分析者全員が各自全ての文章を読み込んだ。同一の内容に関する文章あるいは文章の途中でも区切りをつけ、その塊をコードとした。コーディングの時点では簡潔な表現にすることはしなかった。そのため今回の分析結果で示すコードは、インタビュー参加者の語りがそのまま表記された形となった。その後、内容の類似したコードをまとめ、サブカテゴリーとし、共通する内容を表すようにネーミングを行った。類似したサブカテゴリーをさらに抽象度を上げ、カテゴリー、コアカテゴリーとしてまとめた。分析の信頼性・妥当性確保するために調査者5名で分析を行い、分類やコードなどが一致するまで議論をして確認した。現在、当該結果をもとに論文作成中であり、2019年度中に学術雑誌に投稿予定である。第二に前述のインタビューの質的分析をもとに全国横断調査用の質問票案を作成した。現在本邦における代理意思決定に関わる約40の質問案を作成しており最終版が完成次第、倫理審査委員会に審査を申請する予定である。承認が下りたのちWEB調査を実施する。第三に代理意思決定を含む医療に関する諸問題についての調査を、全国の大学病院神経内科通院中に約100名の患者を対象に、WEB調査で実施する。本調査については質問票が完成し、現在倫理審査委員会に申請を提出している状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
質的な半構造的インタビューの解析が完了し、論文草稿が執筆中である。また、同インタビューでの知見を基にした量的研究のための質問票も完成しつつあり、2019年度内には調査が実施できると予想される。さらに新たな全国大学病院神経内科受診患者を対象したWEB調査も倫理委員会の承認が得られ次第実施できる状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
定期的な研究ミーティングを行い論文および質問票を完成させる。倫理委員会の修正要請には迅速に対応し遅滞なく承認を得る。WEB調査会社の選定は完了しているので、倫理承認後はすばやく調査委託を行う。入手した調査結果は研究目的に合わせて適切に統計解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に予定通り、探索的質的個人インタビューを実施した。その解析に質的研究の専門家にも参画してもらい厳密に実施したために当初より時間を要し、研究打ち合わせや予定していた学会発表などが遅れたため次年度使用額が生じた。また想定していたよりも委託業者への支払額を低く抑えることができた。当該インタービューの結果を用いた本研究計画の主たる調査である全国横断量的調査は、現時点で調査の準備がかなり進んでいるため、2019年度中に問題なく実施できる予定である。
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