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2020 年度 実施状況報告書

我が国の「新薬市場独占期間」の妥当性に関する多面的検討

研究課題

研究課題/領域番号 18K09968
研究機関東京大学

研究代表者

桝田 祥子  東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (70508150)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード新薬市場独占期間 / 再審査期間 / データ保護 / 特許法69条第1項
研究実績の概要

本研究は、我が国の医薬品産業において、新薬開発のインセンティブを失わずに、ジェネリック・バイオシミラー市場を拡大していくための、新たな制度設計に資するためのものである。
本年度は、前年度に引き続き、抗体医薬開発と新薬特許、およびバイオシミラーの市場参入に関する現状と課題を検討するとともに、新薬市場独占期間に将来的に影響を与える可能性のある産業動向や判例について情報収集および分析を行った。
新薬市場独占期間は、特許制度の他、我が国では再審査期間(薬機法14条の4)によっても与えられる場合がある。再審査制度は、市販後に新薬の安全性等を検証するための仕組みであり、再審査期間中はジェネリック・バイオシミラーの市場参入が制限される(H26.11.21 薬食発第2号)。その効果は、諸外国で採用されている新薬データ保護制度と同等ではあるものの、近年の経済協力協定や自由貿易協定において、データ保護の概念により保護期間の交渉がなされる際には、我が国における保護条項の履行に関し問題が生ずる可能性がある。そこで、我が国の再審査制度の導入経緯や制度変遷を欧米等と比較した上で、バイオ医薬品に関する保護強化について将来的な課題を検討中である。
新薬の臨床試験に対して特許権の効力が及ぶか否かは過去の判例から明らかではなかったが、先端医療の一つであるがん治療用ウィルスに関する特許について、東京地裁(令和2年7月22日東京地裁平成31年(ワ)1409号)により、特許権の効力は及ばない旨の判断がなされた。本件について、詳細な事例検討を行い、新薬開発の開始時期等への影響について分析を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

データ分析だけではなく、新薬市場独占期間に関する産業動向や判例動向について情報収集を行い、その影響を分析しているため。

今後の研究の推進方策

現在、医薬品と特許に関する書籍を執筆しており、新薬市場独占期間に影響を与える制度的要因について、制度変遷や国際比較などを踏まえ、現状と課題についてまとめているところである。それと並行して、新薬市場独占期間のデータ解析を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

旅費相当の未使用分について、次年度も出張計画が立たないため、研究補助の人件費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 抗体医薬発明の保護範囲に関する一考察:抗体の構造が特定されない機能的・作用効果クレームの課題2020

    • 著者名/発表者名
      桝田祥子
    • 雑誌名

      A.I.P.P.I

      巻: 62 ページ: 656-670

    • DOI

      10.11501/3200618

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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