研究課題/領域番号 |
18K09969
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
野村 英樹 金沢大学, 附属病院, 特任教授 (80313667)
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研究分担者 |
太田 邦雄 金沢大学, 医学系, 准教授 (00303280)
玉井 利克 金沢大学, 医学系, 助教 (40782082)
原 怜史 金沢大学, 医学系, 助教 (80749820)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 一般化可能性理論 / 客観的臨床能力試験 |
研究実績の概要 |
金沢大学で2017年7月に実施した参加型臨床実習後客観的臨床能力試験(Post-CC OSCE)には、121名の学生(p)が参加した。課題数(S)は3であり、学生は10列(c)に分かれて3課題を連続で受験した。ステーション当たりの評価者数(R)は、課題1が1、課題2と3は2であった。6項目の評価項目(I)による6段階の評定尺度により評定が行われた。このデータを用いて初年度の研究では、各ステーションの素点平均を平均して各学生の評点とした場合の試験の信頼性を、Brennanによる一般化可能性理論を適用し、(p:c)x(R:S)xIのモデルにより解析した。 その結果、全体のG係数は0.459であった。また、単回観察時の評価者間、項目間、ステーション間G係数はそれぞれ0.535、0.2315、0.123と算出されたが、ステーション内の全評価者(調和平均は1.5)、評価者あたりの全6項目、ないし全3ステーションの評点平均を用いた場合のG係数は0.633、0.622、および0.296となった。以上の結果から、当初の予測通り、ステーション数の増加がPost-CC OSCEの信頼性改善には必須であることが明らかになった。 またD研究では、2020年に正式実施されるPost-CC OSCEで予定されている6課題、2評価者、6項目評価の枠組みで実施した場合をシミュレーションすると、G係数は0.624と推察された。この結果から、課題を6に増やすと同時に、評価者間信頼性の改善が必要であることが示された。 なお、2018年のPost-CC OSCEは、課題4、評価者2、6項目の評定表で実施した。各ステーションには3台ずつのカメラを設置して試験室内の映像を録画し、映像を用いたより多人数による評価が可能なデータを残している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた2017年実施のPost-CC OSCEのデータを一般化可能性理論により解析した。また、2018年実施のPost-CC OSCEでは、試験の映像を記録し、評価者を増やして評価するためのデータを残すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、2018年度のPost-CC OSCEの信頼性の検討を実施し、2017年度からの改善の程度を評価する。また、映像データを用いた評価を実施することにより評価者数を増やし、これが試験の信頼性をどの程度改善できるかを検討する。さらに、2019年度のPost-CC OSCEを6課題で実施して、映像の記録をデータとして残し、2020年度の解析に用いる。
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次年度使用額が生じた理由 |
IPカメラおよび映像サーバを用いた中央管理による全試験室同時の映像記録を予定していたが、支給額減額のため予定の機器を購入することができず、通常のSDカードを記録媒体としたカメラを購入した。ステーション当たり2台のカメラを2018年度のステーション数(20)に予備を加えた44台購入とし、2019年度に残りの購入を検討することとしたため、この分が次年度使用額となった。
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