研究課題/領域番号 |
18K09976
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 大輔 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助手 (90401851)
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研究分担者 |
高橋 俊文 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20302292)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 不妊症 / 生殖補助医療 / 臨床決断 / 判断樹 / ビッグデータ |
研究実績の概要 |
女性の年齢の増加による「社会的不妊症」や「不育症」が増加している。不妊症治療は一般不妊治療と体外受精に代表される生殖補助医療(ART)がある。女性の加齢による妊孕性の低下は明らかであり、適切な不妊症治療法を選択することは重要である。しかし、不妊症治療法の選択には常に不確実性が伴い、医師の経験に基づく臨床決断が行われている。この不確実性に対して、患者および医師が妥当と考え得る方法として、「判断樹法」がある。よりよい判断樹の作成には、各治療法に対する成功確率を厳密に設定することが必要である。今回、日本産科婦人科学会のビッグデータであるART登録データを用いて、各治療法における成功確率を算出し、判断樹を用いた不妊症治療法の選択が妥当であるかどうか検討することを研究の目的とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度は、不妊患者における人工授精(AIH)治療の成功確率の検討を行った。当院にて過去10年間にAIH治療受けた不妊患者を対象とした。カルテ情報による後ろ向き観察研究を行った。AIH治療に対する妊娠の有無および生産の有無について、単変量、多変量logistic解析を行い。妊娠および生産に対する予後因子を明らかにした。さらに、各年齢における、累積妊娠率・生産率の検討とカプラン・マイアー法を用いて検討を行った。これによって、AIHの妊娠成立に関する予後因子が明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目では、不妊患者におけるART治療の成功確率の検討を行うこととする。対象:2007年から2015年の日本産科婦人科学会のART登録に登録された治療周期。方法:日本産科婦人科学会のART登録データを用いた後ろ向き観察研究を行う。各年齢層における妊娠率と生産率を、新鮮胚移植治療周期と凍結融解胚移植治療周期に分けて検討する。卵巣刺激法別の妊娠率・生産率を新鮮胚移植治療周期で検討する。予想される結果:①ART治療における各年齢層の新鮮または凍結融解治療周期の成功確率が明らかになる。②ART治療における各卵巣刺激法に対する成功確率が明らかになる。この研究はARTデータベースを用いた後ろ向きコホート研究である。日本産科婦人科学会および当施設の倫理委員会での承認をすでに取得している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究初年度の研究は後ろ向きコホート研究でありデータ解析に関しての費用は発生しなかった。現在、学会発表等を計画しており本年度は旅費などが発生する。また、論文を執筆中であり、本年度は論文投稿料などが発生する。
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