研究課題/領域番号 |
18K09978
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研究機関 | 愛媛県立医療技術大学 |
研究代表者 |
脇坂 浩之 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 教授 (30304611)
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研究分担者 |
山田 啓之 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (00403808)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アルコールパッチテスト / 測色計 |
研究実績の概要 |
2019年度は、引き続き研究対象者の募集と、データの収集を進め、2020年3月末時点で、2019年度中の到達目標としていた150名(2018年度からの総計170名)の対象者を得られた。同対象者全員に対して、ALDH2遺伝子活性さらにアルコール代謝酵素ADH1B遺伝子活性の遺伝子検査およびアルコールパッチテストを行い、アルコールパッチテストでは、皮膚色の変化を複数名で肉眼評価するとともに、アルコール暴露前と暴露後の皮膚色の変化を1分毎に15分間にわたって分光測色計を用いて測定した。 今回、この170名の結果について中間検討をおこなったところ、ALDH2の遺伝型の内訳は、ALDH2活性型が93例(54.7%)、低活性型が66例(38.8%)、非活性型が11例(6.5%)であった。ADH1Bの遺伝型の内訳は、高活性型99例(58.2%)、活性型51例(30.0%)、低活性型20例(11.8%)であった。 測色計では皮膚の赤色変化をa*値の上昇として捉えられる。パッチ部位の皮膚色の赤色変化をパッチ施行前の皮膚色a*値からの変化量(Δa*)で評価すると、コントロール群(n=170)、ALDH2活性型群(n=93)、ALDH2低活性型群(n=66)、ALDH2非活性群(n=11)のΔa*の平均は、パッチを外した直後でそれぞれ、0.03、0.16、0.50、1.36、15分後ではそれぞれ、-0.19、0.24、2.59、4.40であった。統計学的には、パッチを外した直後で、ALDH2低活性型群およびALDH2非活性型群のΔa*はコントロール群のΔa*と比較して、有意に上昇(p<0.01)していた。このALDH2低活性型群およびALDH2非活性型群の有意上昇は15分後まで継続した。また、13分後以降はALDH2活性型群もコントロール群に比較してΔa*の優位な上昇(p<0.01)がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の研究倫理審査に関する許可の取得後の2018年9月から研究対象者の募集、研究参加に関する説明会の開催、同意書の取得、検査実施と進めて来たが、2020年3月末までに予定していた170名(2018年:20名、2019年:150名)の対象者を得ることができた。また、同対象者全員にALDH2遺伝子活性さらにアルコール代謝酵素ADH1B遺伝子活性に関する遺伝子検査とアルコールパッチテストを行うことが出来た。なお、ADH1B及びALDH2の遺伝子型の分析は口腔内を綿棒で擦りDNAの採取を行った。本研究では、対象者の総計を最終的に200名前後で計画しており、予定された対象者の計測が終了した時点で最終的な解析を行う予定であるが、2019年度末までに取得できたデータを用いて中間解析も現在進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究対象者の募集を行い、研究を進める。2020年度は遺伝子検査およびアルコールパッチテスト(肉眼および測色計を用いた評価)を30名以上行う予定。ALDH2には3種類、ADH1Bにも3種類の型があるために、アルコール代謝関連酵素活性遺伝子多型はその組み合わせによて、9種類のタイプが存在する。したがって、この9つすべてのタイプについて、タイプ別の検討を測色計による測定結果を用いて進める予定であるが、現在までのところ、最も希少な遺伝子組み合わせのタイプの者が対象者の中にはいなかった。そのために、希少タイプ以外の8タイプについての中間解析を進めているが、今後、希少タイプの対象者を得るための方法についても検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要な物品の一部の購入を翌年に行うこととしたため。
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