研究課題
本研究の目的は、本邦の内視鏡外科手術修練の現状を全国調査し、新たな修練モデルを開発することである。以下その研究実績について報告する。内視鏡外科修練に関する全国調査では、日本内視鏡外科学会教育委員会の協力を得て、調査アンケート項目を作成した。その19項目は (a) 内視鏡外科の修練状況に関する調査、(b) 内視鏡外科手術の執刀医としての習熟度に関する調査の2つの内容に大別された。手術習熟度調査の対象は、腹腔鏡下に執刀した胆嚢摘出術、虫垂切除術、鼠径ヘルニア修復術、大腸直腸切除術、胃切除術などの8術式とした。10年目以下の日本内視鏡外科学会一般外科会員 2296人へ調査依頼書類を郵送し、平成30年7-8月の期間中紙媒体返送もしくはオンラインにより回答可能とした。回答率は28.1%であった。調査結果は、大多数の回答者が研修施設内で内視鏡外科基本手技の自己練習を行なっていた。「研修中内視鏡外科のトレーニングを十分受けたと思う」という回答と、「受けたと思わない」という回答はほぼ同数であった。8術式に対する執刀経験数と習熟度調査結果では、術者として概ね自立できているレベルを基準とした場合、そのラーニングカーブの目安となる執刀数は、腹腔鏡下胆嚢摘出術および腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術で11~20例、腹腔鏡下虫垂切除術で6~10例、腹腔鏡下結腸右半切除術および腹腔鏡下S状結腸切除術で21~50例であった。腹腔鏡下胃切除術に関しては、回答者の大部分が執刀医として自立していかなった。上記の結果を基に、現在研究者らは内視鏡外科手術修練のための遠隔シミュレーショントレーニング、アニマルラボ、カダバーラボ、オンライン内視鏡外科手術セミナーを実施し、その体系的なカリキュラム開発に着手している。本カリキュラムの教育的有用性については今後更なる検討を重ね、発信していく予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
日本内視鏡外科学会雑誌
巻: 26 ページ: 161~169
10.11477/mf.4426200892
Surgery Today
巻: - ページ: -
10.1007/s00595-020-02218-w